一言で言うと、マーケティングにおいて、
ネットとメディアの連携をいかにしてうまく機能させるか? -> リッチメディア広告
その「スケダチ」をしたい、ということなのでは?
ツールの開発ではなくて、リッチメディア広告の開発をしたい、ということなのでは?
つまり、今、僕がボランティアでやっているようなことを、独立開業して、ビジネスとしてやる、という宣言をしているのかな?
高広さんは?
(出典)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/nmg/20090116/182977/
広告主、メディア、代理店の“隙間”を埋める
グーグル辞めてもミッションは同じ
スケダチ 高広 伯彦氏
杉本 昭彦
IT・通信 広報・マーケティング マーケティング
博報堂、電通、グーグルと職場を変えながら一貫してネット広告、マーケティングに携わってきた高広伯彦氏(関連記事1、2)は2009年1月初旬にグーグルを退社。「スケダチ 高広伯彦事務所」を屋号として、広告代理店、メディア、広告主を対象に、広告ビジネス企画/開発サポート、広告キャンペーン企画を中心としたコンサルティング、プランニング事業を個人事業主として始めた。同氏は博報堂、電通を経て2005年12月にグーグル入社。その業務だけでなく個人ブログ「mediologic/weblog」などを通じて広告業界における影響力は大きく、独立は話題を呼んだ。その背景と高広氏が考えるネット広告、ネットマーケティングの現状、課題について聞いた。
独立の経緯は。
事務所のドメイン「sukedachi.jp」を取ったのは、実は、電通を辞めるタイミング(2005年)だった。コミュニケーションプランニング、広告企画専門の事務所を作って独立しようと考えていた。そのときに、グーグルに勤める知り合いから「グーグルに興味ありますか」と、「GREE」のメールボックスに連絡があった。広告代理店と違う立場で、(広告の配信)プラットフォーム側で新しい広告の仕事をするのはいい経験になり、独立はもう少し後でもできると思いグーグルに入社した。
博報堂時代にも、「ペタろう」(職場内用メッセンジャーソフト)、「電子年賀状」など広告代理店が自ら広告プラットフォームを作るようなビジネスをしていたこともあり、新しい広告ビジネスを作ることに興味、やりがいを感じていた。広告ビジネスは通常、既に(広告掲載の)枠が存在する。その中でどういうクリエーティブ、企画を作るかが広告ビジネス。ネットは“土地の区画整理”も含めて全部できるのが面白いところ。
グーグル入社の時にも「将来的に何をやりたい?」と当時の村上憲郎社長から聞かれて、「今の広告会社とは違うかもしれないが、広告にかかわる会社を作りたい」と言ったほどで、そもそも独立志向があった。その時から「3年後」という話をしておりぴったりのタイミングだった。
独立するには大変な時期ではないか。
気分的なタイミングと世の中の不況のタイミングがうまく合致した。グーグルがネットバブル後に伸びたことも考え、不況時は広告業界の新たなシフトのタイミングであると見込んでビジネスを始めた。
というのも、例えば広告主の予算は数十億円から数億円に減るかもしれないが、マーケティングは続けないといけない。テレビCMなどマス広告を買っていた広告主は少なくなった財布のお金をどう使うか、マス広告の新しい買い方を考えなければいけない。予算が減ってマス広告が否定されるのではなく、少ないならではの買い方、ほかのメディアとのシナジーを作るようなマーケティングを考えることになる。
(それに対応する)新たなマーケティング手法を提供しないといけない。お金が潤沢にない時代は、小規模の小回りの利くプランニングへのニーズが高いと思う。
また、広告ビジネスにおいて予算の投資、配分の変化が起きて、ネットに対する期待でメディア面のシフトが始まる。グーグル同様、不況時には広告メディアの新しい広告配信プラットフォームが出てくる可能性が高い。その支援もしていきたい。
なぜメディアへの支援が必要になるのか。
「Yahoo!JAPAN」にしても、「mixi」「GREE」にしても、ネット広告のメディアは広告業界から生まれたものではない。すべてIT業界から生まれている。IT業界から生まれるメディアは、広告ビジネス側からみると新しい半面、IT業界には広告ビジネスの慣習などを知らない人が多い。IT業界で新しい広告ビジネスを始めたい人に、広告業界の知恵を授ける支援へのニーズがあると思う。
一方、企業のマーケッターと広告代理店も、メディアやネットの使い方に困っている。大手代理店にもネットのプランニングをできる人は増えたが、最近始めた人も多い。例えば、リッチメディアで何ができるか知らない人も少なくない。メディア、広告代理店、広告主の三者の間には、埋まっていない“隙間”がたくさんある。その隙間を埋めて、広告業界にかかわるすべての人の困っている部分を「スケダチ」したいという意図で事業を始めた。
“隙間”が多く、広告、マーケティング業界がうまく回っていないと感じているのか。
インターネットが出て、「これからいろいろ変わるぞ!」という雰囲気を感じていた1990年代半ばから2000年までのネットビジネス、広告をやっていた人たちの熱気、創造力は、2005年以降のネットや広告業界には伝わっていない。
また、2000~2004年までネット広告をやった人はリッチメディア広告を知っているが、この3~4年の経験しかない人はよく知らない。検索連動型広告などで購買を取りやすい媒体がたくさん出たので、みんなの関心がそちらに向いている。ネット広告代理店はそれを取り込み成長してきた。
広告主からは、ネットでブランディングをやりたいというニーズも出てきた。しかし、ネット広告代理店に入社して検索連動型広告やアフィリエイトばかりに取り組んでいると、創造力が育まれない。代理店サイドの課題だ。ネットらしいやり方で(消費者の)想像力をかき立てることができない。
広告代理店がプランし提案することで、広告主が情報を得るのが健全な環境だと思うが、それがなくなっている。ネット広告代理店には優秀な若者が多いが、自分たちの伸びどころを探し切れていない。
ナナロク世代(1976年前後生まれ)以降は完全にネットにシフトしているが、(自分も含めて)1970~1975年生まれの世代はトラディショナルなメディアとネットをつなぐ人材。マスやイベントまで含めてネット広告を考えられる人材が広告業界には少ない。その間のヘリテッジ(継承)ができていないのが課題だ。
広告主の方が進んでいる状況なのか。
広告主の方が進みたがっている。日本の広告ビジネスはコミッション(手数料)で成長してきた。コミッションビジネスで考えると、ネット広告は売り上げが小さいため代理店は提案したくない。
広告主は変わりたがっているが、(コミッションという)取引の商慣習があるので広告代理店から新しい情報が流れてこない。広告主が(プランニングに対する)フィーも払うような仕組みを作らないと、広告代理店はネットのプランニングではもうからなくなってしまう。
自身のブログ新事業にかける抱負を表明したが、その一つに「新しさ/新機軸を作ること~業界をリード、参考になるような広告キャンペーンの実施」を挙げている。広告業界で若い人材に創造力が育まれていないことから危機感を感じているのか。
一つは確かに若い人材の問題。もう一つは、広告業界の人は業界の流行にとらわれやすいこと。行動ターゲティングが米国で流行っていると聞くとみんなそっちにいく。自分たちで新しい広告の形を作ろうとしない。そこで新機軸を作る必要性を感じている。
昔、ネット広告をやっていた人間は、ネットは「白紙のキャンバス」と考えていた。ここで何をやるかと考えた。既にネット広告の市場があると広告の枠の中を売ることだけに注力してしまう。どうしたら広告媒体になるかといった発想が業界に欠如している。例えば「Twitterをどう広告媒体化するか」「デジタルサイネージはどう使えばいいか」といった発想が欠けている。
「新しさ/新機軸」は広告主のためにもなる?
なると思う。広告主のニーズがメディアへフィードバックされて、メディアがフィードバックを基に改善して、広告主に還元できる。これはマーケットインの発想。一方で、メディアが新しい価値を提案して、広告主、マーケッターに使ってもらうプロダクトアウトの発想がある。このどちらも回っていない。本来、広告代理店が(これを回す)役割を果たさないといけない。
広告業界の営業とそれ以外の業界の営業との違いは何かと考えると、一般的な営業は商品が存在してそれをいかに売るかだが、広告代理店は自分の商品がないこと。お客さんのニーズを聞いて商品をそろえるのが広告の営業スタイル。ところが、ネット広告の世界は今ある商品だけを売ることになりつつある。
代理店が広告主の話を聞いて、適した商品がないと思ったらそれをメディアに言うことが大事。僕のネット広告の原体験は博報堂だが、当時、僕の上の世代には「広告はこうじゃないとお客さんに売れない」と言う人がたくさんいた。電通でもそうだった。
「新たな広告配信/マーケティングプラットフォームを生み、普及させる」ことも抱負に掲げているが、今あるプラットフォームでは不足なのか。
(グーグルやヤフーなど)既存のプラットフォームも伸びるが、ネットではもっといろいろな配信プラットフォームができると思う。ヤフーやグーグルのプラットフォームは従来的なディスプレイ、テキスト広告をレレバントな(関連性のある)場所に、レレバントなタイミングで配信できる仕組みだ。
一方、Twitterは一斉配信できる広告プラットフォームとも考えられる。(レレバントだけではない)もっと多様なプラットフォームが存在していいと思っている。今のヤフー、グーグルを塗り替えることを考えているわけではない。日本でもいろいろなベンチャー企業が広告ビジネスをやろとうしているが、もっと前面に出てもらって、広告主、メディア、ユーザーにもっと満足してもらうものを作ることが可能だろう。そこを支援するのは面白いと思う。
去年ぐらいから、広告にはレレバンシーとアクセプタンシー(許容度)という二つの軸があると考えるようになった。例えば、1日数通の広告メールを受け取ることで無料で通話とデータ通信できるサービス「BLYK」がある。広告は必ずしもレレバントではないが効果が高い。すると、ユーザーが許容できる情報量の範囲で広告を出す方法もあるぞというわけだ。
レレバントな広告が求められるのは、あふれかえる広告に対して見たくない情報を許容する隙間がないからだ。ユーザーに送る情報の上限を決めておけば、その広告が見られる確率は高くなる。トラディショナルな考えかもしれないが、広告はコンシューマーに新しい情報を伝える役割もあると思う。その要素は、レレバンシーという考え方だけでは成立しない。
スケダチの業務におけるクライアントとの付き合いは一時的なコンサルティングになるのか、長期間付き合う仕事になるのか。
両方ある。メディアビジネスにおける新規メディアの開発、広告代理店でのキャンペーンの企画であれば短期間。代理店でも広告営業のトレーニングであれば長期になる。メディアの中でも既存のメディアをどう伸ばすかという話であれば長期になるだろう。
広告主と直接仕事をすることはないのか。
話はいくつかある。広告主が何かやりたいというときにやり方を提案する。キャンペーンの企画に関する短期間の仕事が多いと思うが、広告主が自らメディアを作るという話になれば、長い付き合いになると思う。私が博報堂時代にやった日産自動車のデスクトップアプリケーションは、もう6年ぐらい続いている。
自分でメディアを作りたいという考えはない?
僕がグーグルで一番で共感したのは、グーグル自身は情報を作らないこと。世の中にあるたくさんの情報を整理して、調べる人がたどり着きやすいようにする。その結果、情報提供者もハッピーになる。
世の中にいろいろな広告プラットフォームがあるけれど、それをぐっと引き上げることや、整理する人が足りない。自分自身で何かを作るより、今あるものにバリューをどう作るか、パーセプション(認知)をどう変えるか。そこにフォーカスしていく。
独立しても、グーグルとミッションは同じ?
変わらない。グーグルの広告ビジネスで面白いと思ったのは、グーグルが真ん中にいて、ユーザーと広告主とメディアみんなをハッピーにするエコシステムを作ろうとしていること。そういう考え方で取り組んだ経験が、いろいろな仕事をするときに役に立てばいいと思っている。
テレビCMはたまたま見るものだけど、企業のキャンペーンサイトの場合、ユーザーはわざわざサイトを見に来る。わざわざ来た人にどうお返しできるか、キャンペーンを企画するのはユーザーをハッピーにすることだ。そのエコシステムは変わらない。
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