再生難航 米名門誌ニューズウィーク 「単なるエッセー集」と酷評 (1/2ページ)
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【ニューヨーク=松尾理也】80年近い伝統を持つ米ニュース週刊誌ニューズウィークが今月初め、音響機器製造販売で財をなした富豪、シドニー・ハーマン氏(92)への身売りを発表した。同紙の今後に重ね合わせるかたちで、雑誌メディア全体の将来について議論が続いている。
このほど米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューに答えたハーマン氏は、こう批判した。
「エッセー集」との皮肉は、ニューズウィークが昨年行った誌面改革に向けられている。広告収入、発行部数ともに低落を続けるなか、「もはや横並びで単純な生ニュースの取材は行わない」と宣言。分析や評論に編集の重点を移した高級誌を目指した。
インターネットが登場し、速報性では“お呼び”ではなくなった雑誌メディアの今後を模索する実験として、業界から一定の関心を集めもしたこの改革は、現実には低落傾向に歯止めをかけられなかった。
ただし、改革の方法論自体が間違っていたのかは議論が分かれる。しばしば引き合いに出されるのは、高級ニュース週刊誌として、ニューズウィークが改革の手本にしたともされる英エコノミスト誌だ。1982年、わずか8万部で米国に進出した同誌の発行部数は、今では82万3千部(2010年上半期)に達した。
ニューヨーク・タイムズ紙は「不安と野望でいっぱいの出世志向の読者たちを引きつける巧妙な広告戦略を続けた結果だ」と、成功の理由は高級路線にあると分析する。
とすれば、ニューズウィークの改革の方向自体は間違っていなかったことにもなる。事実、失敗の原因は方針そのものよりも、朝令暮改を繰り返し現場の士気の著しい低下を招いた編集幹部の無能にこそあったとの見方が少なくない。
過去にウォールストリート・ジャーナルの記者を務め、現在はメディア評論で活躍するシアトル在住のライアン・チッタム氏の分析は直截(ちょくせつ)だ。「エコノミストの成功は、単にその内容が優れていたからだ。世界で起きていることを限られた時間でまんべんなく知ろうとすれば、多くの人はニューズウィークよりもエコノミストを手に取るだろう」
巨額の負債とともにではあるものの、たった1ドルでニューズウィークを買収したとされるハーマン氏は、「国の宝を引き受けた」と意欲を燃やす。だが、著名ジャーナリスト、ファリード・ザカリア氏がライバル誌タイムへの移籍を決めたほか、名物記者が続々と去りつつある現状では、再生への道は限りなく険しい。
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