2008年3月 7日 (金)
知力
知力とは何か?
人と動物の間に線引きする必要はないという気がする。
動物を”機械”として扱う”行動主義”から、多種多様な”認知能力”を持つ”生き物”であるという捕らえ方への移行(進化論に基づく)。
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(出典)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20080306/149080/
人間の言葉を話す、仲間をだます、道具を考え出す――。動物たちは、私たちの想像を超えた知力をもっている。科学者が動物と二人三脚で続けてきた数々の研究で、その実力が少しずつ明らかになってきた。
動物に心の内を直接聞いてみたい―。1977年に大学を出たばかりの研究者アイリーン・ペパーバーグが始めた実験は興味深い。彼女は1歳のヨウム(オウムの一種)を研究室に持ち込み、アレックスと名づけて、人間の言葉を教えることにしたのだ。
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当時、多くの科学者は、動物に考える力などないと思っていた。ロボットと同じように決まりきった反応しかせず、思考や感情とは縁がないと決めつけていたのである。いや、うちの犬は違いますよ、と言う人もいるだろう。だが、そんな主張はなかなか通らない。動物に思考力がある、言い換えれば、まわりから得た情報をもとに行動する能力があると科学的に実証するには、どうすればよいのか。
「そのために、アレックスに協力を仰いだわけです」とペパーバーグ。アレックスは2007年9月に31歳で生涯を閉じたが、私が研究室を訪ねたときはまだ元気だった。ドアを開けると、ペパーバーグはデスクに向かい、アレックスは鳥かごの上に陣どっていた。床には新聞が並び、棚には色とりどりのおもちゃを入れたかごが積みあげられている。アレックスは実験対象というよりも、研究のパートナーのように見えた。
記憶する、文法や絵文字を理解する、自意識をもつ、他者の思惑を推察する、動作や行動をまねる、何かを創り出す―こうした能力は、高度な知能をもつことを示す重要な指標とみなされている。さまざまな実験を通じて、動物たちにもこのような能力があることが、少しずつ明らかになってきた。
たとえば、アメリカカケスは、隠した食べ物が盗まれないように策を講じる。ヒツジは仲間の顔を見分けられる。チンパンジーは道具でアリを釣りあげる。イルカは人間のポーズをまねる。ペパーバーグの相棒、アレックスはどうかと言えば、おしゃべりが得意だ。
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周囲の事象を心の中で抽象的な概念にグループ分けする能力は、動物にとっても重要であるはずだ。人間の知能も、その延長線上にあるものだろうか。ダーウィンは進化論を人間の脳にも当てはめて、人間の知能の発達過程を説明しようとした。人間の心理や知能は、より原始的な生物のもつ能力から進化してきたはずだ。どの動物も、生きていく中で同じ課題に直面するからだ。
ダーウィンはミミズを観察して、どの動物にも知能の萌芽のようなものがあるのではないかと考えた。しかし、20世紀初めには、こんな考えは相手にされなかった。多くの研究者は、動物を機械のようにみなす行動主義の立場をとり、マウスを使った室内実験に没頭した。
だが、動物が刺激に反応する機械にすぎないなら、人間の知能はどのようにして誕生したのか。人間がすぐれた認知能力を獲得した過程を生物学の見地からきちんと説明するのは、進化論的な視点抜きでは不可能だ。時代の流れは、“動物=機械”説からダーウィンの進化論へと徐々に移っていった。そしてさまざまな動物の研究から、認知能力の起源は非常に古く、多種多様であることがわかってきたのである。
(藤田 宏之=『ナショナル ジオグラフィック日本版』編集長)
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青柳洋介
2008年3月 7日 (金) アート & サイエンス | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
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