Mobipocketとは、フランスのMobipocket社が開発したWindows PC 用電子書籍システムのことである。mobipocket Readerで電子書籍を読み、mobipoket Creator で書籍を作成可能。mobipocket Reader は、mobipocket 社が端末毎に専用のmobipocket Reader を無料で配布している。対応している端末は比較的多いが、現在、最新端末には対応できていない。PC上ではtext, HTML pdfなどを直接 mobipocket Reader で変換して読むことが可能。また、WORDやEXCELがインストールされたPC であれば、doc, xls なども変換して読むことが可能。一度 mobipocket 形式に変換されたデータは、削除するまでライブラリーに存在し、いつでも読むことができる。基本的にはPCで作成,無料あるいは購入した電子書籍を携帯端末で閲覧するためのシステムである。PC上では書籍を読みながらコメントを付けたり、書籍内を検索する機能も使える。コメントは携帯端末側のリーダが対応していれば、そちらでも表示可能。検索は携帯端末側ではできない(場合が多い)。
Mobipocketは、上記の電子書籍システム,Mobipocket社あるいは、いわゆるeBook(電子書籍)用フォーマットの一つとしての mobipocket 形式を指す。
現在、Mobipocket社はAmazon社の傘下であり、Kindle(R)形式のebookフォーマットとmobipocketは、内部構造的には同等である。ただし、購入したebookはPIDと呼ばれるIDコードでコピーガードされているため、今のところmobipocket形式で購入したebookをKindle(R)で読み込むことはできない。 mobipocket形式のフォーマットは、HTMLから派生したものであり、内部構造的にはフォントの種類・サイズ・色などの情報を持ったテキストとJPEG等の画像データ埋め込み、およびリンク機能を持っており、レイアウトの自由度も高い。 この構造により、現在はサポートされていないmp3などの音声データやムービへのリンクなどもハードウェア側のレベルが揃ってくればリンク機能で容易に対応可能な先を見越したフォーマットとなっている。 このフォーマット構造および mobipocket Reader の柔軟な設計により、非常に優れたeBookシステムとなっている。
mobipocket 形式の辞書を購入すれば、mobipocket Reader が電子辞書代わりとなり、不明な単語を調べることが可能であるが、それだけを見れば、他にも対応しているeBookシステムは存在する。 mobipocket システムでは、eBook を読みながら知らない単語をクリックすれば、自分が購入した辞書でヒットした場合に意味を表示してくれる。複数の辞書を購入していれば、同時に複数がヒットする。特に洋書を読む場合にはmobipocket形式は非常に優れたツールとなる。すなわち、洋書をeBookで読みながら、知らない単語をクリックするだけで意味を知り、ワンクリックで元のeBookに戻って読書を続けることが可能である。
mobipocket 形式で購入可能な辞書には、以下のものがあり、特に英語の勉強を目的に電子書籍フォーマットを比較した場合には、mobipocket形式の優位性が現時点では非常に高い。ただし、mobipocket社はKindle(R)形式の方へ注力していくことが予想され、将来性の点では疑問視されている。 英辞郎, ジーニアス英和辞典, ジーニアス和英辞典, 明鏡国語辞典,
[以下、英英辞典]
New Oxford American Dictionary
Oxford Advanced Learner's Dictionary
Merriam-Webster's Collegiate Dictionary
LONGMAN Dictionay of Contemporary English
The Chambers Dictionary
Collins unabridged English Dictionary
Collins Student's COBUILD Dictionary
The World's Biggest Dictionary (= Wikitionary)
The Big English Encyclopedia (=Wikipedia)
etc. それらの辞書を全て購入すると、eBook で知らない単語をクリックした際に検索時間が掛かるようになってしまうが、その場合には好きな辞書一つだけ登録して常にその辞書で検索するように設定することも可能。ただし、この場合、一つだけしか辞書を設定できない。
Mobipocket 形式のeBook を扱う電子ブック書店は複数あり、書店によって品揃えも価格も異なる。少しづつmobipocket形式のeBookを扱う書店が減っており、最新書籍はmobipocket形式では購入できないケースも出ている。電子ブック書店側が電子書籍端末を発売し、そちらを推奨したいためであったり、mobipocket 社と著者の契約上の問題などによる。特にある著者のタイトルが全て突然、mobipocket の電子ブック書店から消えていることも少なからずある。(買える内に買っておかなければ後悔することもある。)
mobipocket 形式のeBookを購入し、mobipocket Reader で読み込んだ場合、まれに表紙が表示されない,画像が小さすぎる,画像の縦横比が閲覧する端末と合わないなどの問題がある。他のフォーマットであれば、概ねサイズなどが揃っているため、ただ購入すれば気にせず使用できるが、mobipocketは、例えば、立ち読みのためにデモ版をダウンロードしたときは表紙があり、正規版を購入すると表紙が無いということさえある。この場合にもmobipocket形式は対応が可能な構造になっている。 mobipocket形式の書籍は指定したフォルダに保存されているが、その際、例えば、以下のようになる。
ABCD.prc (またはmobi)
ABCD.mbp
demo_ABCD.prc (またはmobi)
demo_ABCD.mbp
拡張子prc(またはmobi)が購入した書籍本体で拡張子mbpは設定ファイルである。このmbpはメモ帳などのエディタで開くことが可能であり、そこに記載された拡張子jpgまたはjpegのファイルが表紙である。このため、デモ版に表紙があり、正規版に表紙がなければ、デモ版のファイル名demo_ABCD.mbpをABCD.mbpに変更するだけで済むことになる。 また、mbpに表紙の画像ファイル名が記述されているため、より高画質の表紙データを見つけて画像データを置き換えれば高画質の表紙になる柔軟な構造になっている。(表紙はCoversフォルダ内のjpegファイル)
mobipocket 形式のebookを購入した後でmobipocket Reader上のタイトル名を自由に変更可能。タイトルを選んで右クリックでプロパティから編集できる。よって、シリーズ物を購入した際に他の電子書籍リーダではタイトル順にバラバラに並ぶため、第1巻が後ろで第2巻は初めの方などということになるが、mobipocket Reader であれば、タイトルを自分で「シリーズ名01タイトル」と変更することでシリーズ物を本来の順番通りに並べることが可能。(電子ブックリーダのライブラリには一般的にフォルダ機能が無いので表示される順番は非常に重要。) 更に購入してダウンロードしたeBookのファイル名を好きに変更してからmobipocket Reader で読み込んだ場合、格納フォルダに保存されるデータのファイル名は自分で付けたファイル名になっている。このため、携帯端末側がタイトル名順で無く、ファイル名順に表示することしかできない場合でも計画的にファイル名を付ければ表示順番をコントロール可能である。 他のフォーマットや他の電子書籍リーダとの違いは、ちょっとした違いであるが、mobipocketは、ユーザにとっては非常に重要なこだわりの部分を改善できる柔軟なシステムとなっており、他のシステムでは全く対応できない場合でも手間を掛ければ対応できる余地がある。
テキストデータやHTMLデータをmobipocket Readerで読むだけであれば、そのまま変換して読めば良いため、実質的に青空文庫など無料で大量の書籍を読むことが可能である。更にmobipocket Creator を使用すれば、表紙を付けることも目次を付けてリンク先へ飛ばすことも可能となり、市販のeBook相当のものを自分で作成可能となる。mobipocket Creator も無料。
mobipocket システムは、完璧なライブラリーに自分で仕上げる充実感を味わえ、英語の勉強に使えるという点で非常に優れたシステムである。逆に日本語の書籍を購入する場合には、タイトル数が揃っておらず、他の電子書籍システムを選択する方が良いと思われる。
なお、eBookは自分が所有する携帯端末で読めなければ意味が無いというユーザの方が多いため、自分が所有する携帯端末に対応しているかが問題である。もしmobipocket形式の書籍を大量に購入した場合、将来、携帯端末を変更しても読むことが可能かという点で現状では不安が残る。
例えばAndroid 端末はiReader(R)をインストールすれば、現状でもmobipocket形式の書籍を表示させることは可能である。これが他のフォーマットであれば、十分かもしれないが、mobipocketは非常に優れたシステムであるが故、単純に画面に表示されるだけでは満足できないユーザが多いと思われる。例えばmobipocket形式で購入した辞書は、電子辞書機能が無くなり、ページを1枚づつめくって読むための書籍となる。また、現時点では、どのeBookを読む場合にも知らない単語をクリックして調べるための機能が全く無い。
今後は充実してくると思われるKindle(R) は、mobipocketが対応できていない最新端末(iPad/iPhone用Kindle,Android用Kindle など)に対応しており、内蔵辞書で知らない単語をクリックして調べる機能を有しているが、新たに辞書を購入しておいても、eBookを読みながらクリックで引く際には内蔵辞書しか使えない。 よって、辞書類を購入するなら現在もmobipocket形式が品数が非常に多く、英英辞書類には特に力を入れている。
(また、携帯端末側のメモリー容量の制限によると思われるが、携帯端末で大量の書籍をライブラリーに追加すると動作が非常に不安定になる。PC側では(400冊以上でも)全く問題ないが、携帯端末側に入れるものは100冊程度までにしておくなど運用を考える必要がある。)
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