片山総務大臣は汐留三角ビルの伝書鳩
そして、与謝野さんはみだれ髪・・・
10/05/2007
横綱と縦綱 - トンカステン
横綱と縦綱を編んで織を創ると、ある種のWebができるはず!
そのこころは、「習合」です!!!
【習合】広辞苑より
相異なる教理などを折衷・調和すること。
む、む、む
3+6+3=12
ということは、縦綱は6?
もしかしたら、写真の人が「トンカステン」なのかな? 八福神の?
トンカステンの写真?
トンカステンさん、写真を取らせていただいたので、お賽銭を投げ銭しときました!
貧乏なので、小金ですが、、、我慢してちょんまげ!!! 夜中に酔っ払ってお参りしていますが、それも許してちょんまげ~~~
だって、鳥居があるもの! 開、どう見ても、門の中に鳥居が見えます! ということは、開いているということだと思います! トンカステンさん、、、
トンカステンの眼力は三つ巴パワーが渦巻いている・・・ かなり神通力がありそうに見えるが・・・
実は縦綱は写真の両側にも一本ずつある。両端の縦綱は耳に見える。真ん中の縦綱は鼻に見える。それで、三つ巴パワーの両眼! やはり、このトンカステンの神通力はかなりのものだ!!!
横綱を忘れていた!
上のほうに横綱があるのでは? 今日見てみよう! まるで、ドレッド・ヘアーみたいな、横綱があるぞ、絶対にそういう気がする!!!
それで、織は完成するはず、鈴を三個つけている。このトンカステンは!!!
新しい算数です!!!
3+6+3=12
4+4+4=12=6×2
トンカツ+カステラ+テンプラ=トンカツ・カステラ・テンプラ=トンカステン×2
ということは
3+6(3+3)+3=12
これが、トンカステン方程式だ!
一本の横綱に三本の縦綱なのかな?
一本の横綱は太いはずだと思うが。。。じゃないとバランスが悪いよな?
今日もできたらお参りして、トンカステン方程式の確認をしよう!!!
諸説あるみたいだが。。。
「習合」して「神様」が「大集合」したら・・・
「トンカツ・カステラ・テンプラ」の法則と呼ぶ!!!
新しい神様? トンカステン?
七福神にトンカステンを加えて八福神にする?
「トンカステン」メイド・イン・ジャパン
「えびすさん」渡来神(世界中の神様?)
「だいこくさん」「べんてんさん」「びしゃもんさん」メイド・イン・インディア
「ふくじゅさん」「じゅろうさん」「ほていさん」メイド・イン・チャイナ
八は末広がりなので、いいんじゃないのかな? 八福神?
食欲の秋だし・・・ やはり、トンカステンだよな、笑い
収穫祭は終わったんですよね、トンカステン殿・・・
では、またね! トンカステンちゃん。。。
アホウドリが鳥居をくぐってお参りに行きます、よろしくね!
あほ~~~
青柳洋介
9/27/2010
辺見庸
3.芸術は爆発だ~~~
深々矛盾の会 名誉総大将 岡本太郎
完成!
深々矛盾の会誕生~~~、意味森々、意味心身、意味新進、意味心神、意味深々、、、
矛盾の会+新矛盾の会=深々矛盾の会
深々矛盾の会名誉総大将、芸術は爆発だ~~~
Creator Aoyagi YoSuKe
http://ayosuke-cosmos.blogspot.com/
http://www1.ocn.ne.jp/~minao3/test14.htm
満 蒙 遊 記 戻る ホームへ 次へ
(与謝野鉄幹 晶子夫妻満蒙旅行より 晶子の歌のみ摘出)
昭和3年6月3日に公主嶺で詠んだ歌は下の方に有ります
船中
船室の白と港の山うつる鏡もさびし皐月の七日
うちつけにわが部屋の戸の鳴り出でて心さびしき薄明の船
二日して渡れる海の濁りきぬ大人になりて見し世の如く
大連
ふるさとの夢より若くなつかしき祭の朝のアカシヤの風
アカシヤに風の騒げば山の灯もいさり灯のごと心もとなし
寺児溝の赤土の坂斑らなり汗あぶら皆灰色なれば
青春は泥柳だに持つものと知らざる如し寺児溝に住み
小崗子驢馬に引かれて現れし荷車の外清きもの無し
朝いまだ小路の暗し青玉の耳輪をしたる娘住めども
大釜に高粱の粥煮られたるその横町の耳輪のむすめ
寺児溝に小盗市場勝るなりはかなき人の目をもて見れば
馬車つけば入日の色の繻子を掛く杏楽天の黒檀の椅子
錦著てうたへる顔のほのぐらし胡弓を摺るは師父の漢人
かたはらに楊貴妃の絵の掛かりたる紫檀の牀にものな思ひそ
白き馬わが車をば引きて出づ西園亭のアカシヤの路
馬瀾浦を今日の夕に見たるのち何時の世にまたこの道行かん
星が浦
その中を岬かすかに隔てたりあけぼのの浜たそがれの浜
星の身の変りはてたる岩と聞くそのあたりにもしら波の立つ
蔦かづら夕の浜のしら砂へ導く廊にしづくするかな
黄昏の浜の悲しくあけぼのの浜あはれなり旅人の見て
暗き山いよいよ近くよりそひて華やぎわたる灯の星が浦
豪古かぜ星が浦のみ水いろに残す夕もなつかしきかな
ふるさとの東に向ける窓なれど哀れに白したそがれの浜
星が浦夕明りにて見る顔の蒙古に入らば恋しからまし
旅順
亡き魂の生きよ旅順の塔の廊踏めば初めに帰るが如く
円かなる白玉山の塔の廊月の如くに冷たかりけれ
われも立ち士の列伝を説くも立つ旅順の山の二百三尺
薔薇の路アカシヤの路くるまして清の王女の逍遥する日
敦煌に掘られし唐の人形も郷愁つくる旅順に見れば
柏木が煙の如く花咲ける上にかさなる渤海の春
金州
常にわが車に添へり金州の驢の細き脚柳あるみち
金州は劉半溝の河原さへ山に引かれてほの赤きかな
赤土の山平らにて頂にあるも羊の寝るごとき寺
廃れたる烽火の台よ心をば云ふにもあらず山に残れる
五月の日琥珀の如き金州の城外を愛づ柳絮もわれも
城外の南金校の先生と馬車をともにす柳絮のちる日
熊岳城
砂白き熊岳河に見る時は死にたる城もうつくしきかな
風立ちぬ車の奴城内のちまきに走り帰りこぬかな
河原ともやなぎ原とも知らぬなりところどころに温泉靄上ぐ
魚の荷も古靴の荷も砂湯なる主も対す青龍の山
熊岳の河の砂原ほのかにも潤ふ朝に飛ぶ柳絮かな
母立ちて望小山に眺めたるその都より遠きわが子ら
砂掘れば人の思ひも及ばざる川の心の熱き湯の湧く
大石橋
愁ふれば車の方へ倚りてきぬ娘娘廟をおける草山
歩めるは娘娘廟のうしろなる野に飼はれたる山羊ら小馬ら
悲しけれ渤海に行き人見んは見ざることより勝るなれども
逃水の不思議を聞けど驚かず満洲の野も恋をするのみ
営口
わが船よ片時のちはいかならん遼河の流濁水にして
逢ひがたき人と遼河の船にあり午後四時の日よ座をば動くな
濁りたる遼河の流逆しまに動き初めけれ潮さして来て
蘆原も遼河の幅におとらざる緑をひろぐ北方の岸
千山
わが乗れる轎におくれて同行の馬来る外は高梁の畑
浅みどり梨のわか葉のそよぐ頃轎して入りぬ千山の渓
ことごとく四十八渓を越えぬまに寂しくなりぬ千山の路
紫丁香香の夕山に満ちわたる中に立ちたる大安禅寺
禅院の日時計の刻傾きてかへり出づべき千山ならず
紫丁香山寺に立つ煩悩のこころもまじるうす色をして
なほ白く梨の一木の残りたるいただき近き寺の客房
日の本の法師よりけに節立てる法師に借れる草枕かな
若くして身の破戒をば問はれたる法師のありし土の牢獄
あまたたび目ざめあまたの夢を見ぬ山寺と云ふ処に寝れど
暁の山の法師の経声は支那と云へども悲しかりけれ
片はしも渓の水より冷たけれ支那の御寺のあんペらの床
禅院の朝の勤行はてぬればまた歎かれぬ山上の客
梨の花しろきをつたひ朝風の渓上りくる大安寺かな
朝風や峰づたひしてうぐひすを幽かに聞ける千山の奥
渓せまく轎をもちひずなりしのち身に沁みわたる山の風かな
昇天の龍の跡ある洞に居ぬ通力のなきこの羅漢達
しばらくは山轟きぬ木の枝を陸のいかだと云ふやうに引く
山二日一の輿丁のうた声になびくならひの紫丁香かな
仰ぐ時龍洞見ゆれ岩山に道士の衣の袖口ばかり
日光の陽明門のかたちするものの崩れて人菲を抜く
つばくらめ羽うちつけぬ額づける道士も岩の一つと思ひ
屋根白く日のあたりたる木魚庵ただ一つ見えうぐひすぞ啼く
大空が波形をして集れる山とし見ゆれ重りかにして
無量観道士の寺の客堂に入ればたちまち山風おこる
無量観わが捨てがたき思ひをば捨てえし人の青き道服
薪をば抱きたまへる道士にもみちをゆづりてそれたる燕
顔あてに御柳の姿ある道士六朝の書をしたまふと聞く
伴へる支那の奴が指立てぬ時を問へるや恋を問へるや
道士達松風をもて送らんと云ひつる如くうしろより吹く
旅人を風が臼にて摺るごとく思ふ峠の大木のもと
湯崗子
湯崗子君が馬して出でし日もこの夕にも散る柳絮かな
浴泉す奉天省の鞍山のうしろの背のみ見ゆるところに
泥湯をば浴びて菖蒲の花となるあかし無けれは過ぎぬろしや風呂
来ん年もホテルの軒の巣に棲まん燕と似ざる遠き旅人
湯崗子左の窓に入りくるはかぐろき亥の子右は落日
曹達とて砂より白きもの湧けば美くしけれど草無き野かな
むらむらに白き曹達の野の上の鞍山にのみ夕焼残る
蓬だにうら安からぬ野の中の温泉の末にしげる蘆かび
燕京のいくさ始まる終りぬと耳さわがしや東三省も
湯崗子蛙なくなる夕ぐれに柳のわたのしのびくる窓
遼陽
柳絮をば混ぜてつばめの渦巻けり中にしたるは白塔にして
白塔の第十三の上層の先づくづるるは悲しかりけれ
温泉の柳絮古城に見し柳絮遼陽県に散るなる柳絮
夕月夜蓬ひに行く子を妨げて綿の如くにまろがる柳絮
白塔の夢の外なる何ごとの夢をもな見そせめて阿片に
釣魚台
目を閉ぢて昔の夢を釣らぬまに釣魚の台を過ぎたる車
恋をする人のみ知らん断崖の釣魚の台のおもしろきこと
安東
安東の灯に降る雨を見て立てばいかづちすなり義州の方に
人ならば統軍亭と九連の台の如きは苦しからまし
尺とりが鴨緑江の三尺に足らぬを示すあしはらの中
江の中の筏いこへる小景に女もまじりなつかしきかな
われなげく満ちたるもののめでたさと寂しさをもつ大江の水
水夫の歌聞かぬ大河の寂しけれ船多けれど水ひろくして
われはまた北へ行くなり義州てふ日本領にも近づきしかど
五龍背
大江のみなぎるを見し同じ日に行くは温泉の夕月のみち
沙河きよし昨日の雨の流るるとのみ駅長は侮れれども
なだらかに事を好まぬ風景へ五龍の山を一つ加ふる
水田あり柳の立てば旅人も晩帰の人のここちこそすれ
医家ありて柑子の皮を乾す窓に蜂の寄るなる温泉の村
支那の人営むと云ふ温泉もあり前房は火に焼けしまま
湯の宿の支那の手代のよく語る蔦の育ちし年月なども
鳳凰山
美くしき鳳凰山は峯多し芭蕉の葉巻むらがるやうに
内蒙古車中
ねぢあやめ地平の線にいたらずて其処さへはては白き砂山
われは今地と云ふものの平らかさ数ふるさまの落日とある
をちかたの胡沙に曇れる日ならずてうららかならば悲しからまし
都とは砂漠の空をゆきかへるめでたき雲を見ざるところぞ
曠野なる蒙古の築地一隅に物見つくれど見んものは無し
昨日今日興安嶺を発したる河のみ見れど逢はぬ山かな
鞍山の鉄の砂より暗き雲蒙古の町の上にひろがる
いづくとも興安嶺をわれ知らず山おろしのみ渦巻を描く
蒙古野に去年の出水の溜れるは五十年して乾ぬべしと聞く
朝より夕風少し騒ぎ立つころまで乗りぬ蒙古の汽車に
トウ南 (トウは「桃」の木ヘンをサンズイに 蒙古の川名 洗の意)
旅人も鳥も頼みし楡枯れてのちになりたるトウ南の城
蒙古にて十種の穀をこころみに作る畑をば歩む寂しさ
いつの日か色ありしもの失ひて形のみなるトウ南の城
旅人が思ひしさまにやや過ぎて寂し蒙古のトウの風
トウ南の城を出づれはトウ児河北より来り草みどりする
斉斉哈爾
我身をば中華の貴女の逍遥の車に見出づ夕月のもと
君折りて柳を船にさしたれば嫩江の水都にまさる
嫩江の嶋のやなぎの中分くる月光色の呉夫人の靴
呉夫人の船を青衣の衛府のもの洲につなぐわざあざやかにして
日の色を少しまじへて柳原孔雀の青をつくる夕ぐれ
嫩江を前に正しく横たへて閻浮檀金の日の沈み行く
洲の石に瑪瑙まじれり落輝をばひろふに擬しぬ留園を出で
柳原緑金をして川すでにくらき夕の雁のこゑかな
嫩江の岸水荘のあるじなる将軍が指す春のかりがね
旅人にくれ竹色のうすものを人おくる夜の春のかりがね
留園の蝋の灯かげに歌書きし夜のめぐり来よわれに再び
月夜よし夫人手兵をともなひてわれを送れるちちはるの城
哈爾賓
哈爾賓は帝政の世の夢のごと白き花のみ咲く五月かな
将軍の夜遊のむかし千人の集ひし園にたまれる楡銭
梨の花復活祭をあとにして真白き靴のゆきかよふころ
野の草の花束を売る哈爾賓の街を歩むは温室の花
ろしや少女スンガリイなる青をもて目をばくまどりよく踊るかな
哈爾賓のキタイスカヤの明方の街を車す旅人なれど
わが友が露西亜の墓場に読み歩りく名も悲しけれ極東なれば
十字架のななめしたるも燈明を供へし墓も西方の人
おくつきに変らぬ愛を書ける文字故人の読まず旅人の読む
妹脊きて花植うるなるおくつきもその妹脊ほど古りて悲しき
哈爾賓の露西亜の墓場の石だたみ楡の花おく金錆のごと
古馬車の喪服夫人を乗せたるが楡の大路を唯だ一つ行く
東支鉄道車中
しら鷺の羽ばたく程のあえかなる川波立つれ老松の江
沼沢のわかれわかれに白くして清し東の蒙古の月夜
寛城子
二道溝頭道溝も乾きたり寂しき露西亜の駅につづきて
マアルシユカ・ナタアシヤなどの冠りもの稀に色めく寛城子かな
吉林
朝風や吉林省に野飼ひする駒なまめかし雁の列より
わが汽車はたんぽぽの穂の白きをばつたひて入りぬ土們嶺站
土們嶺梅蘭芳の舞ぎぬの袖のゆきほど長き山かな
松花江星の色してひろきかな吉林城をめぐりゆく時
旅路にて別るる友と来て立ちぬ吉林城の北山の亭
説書生弾き語りする蛇皮線に柏手を送る楡の葉の風
吉林の古著の市の一枚の韈かとばかりわれ哀れなり
筏行く吉林城のかたはらを流るる頃は木の白くして
吉林の龍潭山に蓬をば嗅ぐひと時のなつかしきかな
山さして高麗城のあとと云ふ蔑む如し形よからず
松の実を杖のかしらに人割るも砧めきたる吉林の汽車
そのむかし吉林省に王気立ち清朝の手に崩されし山
わが朝の元禄ごろの髪結ひて吉林の町練るは誰が子ぞ
大きなる川もろともに吉林の城暮れんとす低きところに
いにしへの柳条辺も夕月の明りの中にありて寂しき
飲馬浦と云ふ駅の名の読まるるも白き柳絮の明りならまし
野の上の月のありかに霧かかり虚ろのさまの夕月夜かな
長春
降り立ちて伊通の川に洗はるる馬車より城はきたなきものを
城の門あらし立つなり長白の山貨の車あつまる時に
朝陽寺長春城もくづれたる堤も川もおなじ灰いろ
伊通川人多くして橋細しかからずもがな月夜に行かん
文廟のあるべからざるところなり城側は皆菲の香にして
公主嶺
夏雲が楡の大木のなす列にいとよく倣ふ公主嶺かな
公主嶺豚舎に運ぶ水桶の柳絮に追はれ雲雀に突かる
旅人が来て倚る楡の木の下へゆるく寄りくる牧草の波
しづかなり水ここにして分るると云ふ高原の駅のひるすぎ
まろき楡円き柳の枝となる羊飼はるる牧場に立てば
青白く楡銭乾けりおち葉より用なげなれどなまめかしけれ
撫順
石炭に琥珀まじれりかかる身も涙を下に抑ふるごとし
撫順なる黒き層をば掘り下ぐれ冬ぐもりするペチカのために
重なれる山は浅葱の繻子の襞渾河は夏のうすものの襞
夕ぐれに波しらじらと掻き立てて九つ遊ぶ瀋水の馬
撫順にて露天掘りする炭のごと得てましものを一切のこと
奉天
畑青し東三省は滅ぶ無し煩らふなかれよき隣人よ
その半焦げたる汽車に将軍のもて遊びたる紙牌の白し
宮門の濃き黄の瓦かがやきてかささぎ飛べる奉天府かな
便衣隊現れぬとて走りかふ瀋陽の子もあはれはかなし
われは聞く小西門のほのぐらく見ゆる窓にて夢の話を
ここちよく朝風吹きぬ屋の上の痩せて尖がれる獅子の口より
あざみ咲く土に太宗おはします四辺の殿舎威儀に立てども
松風がたびびとに沿ひ上りきぬ隆恩殿の青玉の床
しら玉の柱なれども手ざはりの土にまさらず年を経たれば
柳絮ちり隆恩門の壁上も大路のごとし車行かねど
牛を引き七夕のごと野を歩む満人見ゆる夕明りかな
夏草のおほひもはてず塚なるは塚のかたちに伸びてはかなし
旅人は独り思はず野も水も雲も愁ひをともにこそすれ
大連に帰り旅順星が浦をば再び訪ふ。
大路なる糸房に見たる軽羅をば掛けてなびけるアカシヤの枝
星が浦山の方にもしら波のひるがへるかなアカシヤ咲きて
窓ひろく波よりきたり波かへる硯の箱の巻絵のやうに
日輪が泳ぎ去りたるのちなれば影よりさびし大海の嶋
すでに我が別れの涙こぼれそめ朧ろになりぬたそがれの浜
初夏の紫玉の色のたそがれの中になびけりアカシヤの
渤海の塩田に添ふ道を取り訪へば再び悲しき旅順
悲しくもこの世ならざるところより霧の寄せくる旅順口かな
わが船を海気か鬼気かおそひ来て目の閉ぢられぬ旅順の瀬戸に
霧かかり冷たきものとなりにけり船も山なる白塔のごと
芳ばしき若葉の風が洗ひたる石の道をば夕ぐれに行く
雨降りて桃源台の赤土の濡れ行く香こそ哀れなりけれ
わが心故郷にのみ引かれぬも苦しかりけり旅の船待ち
旅四十日過ぎこし方の入り混りなつかしきこそわりなかりけれ
満州の丹朱ほのかに残るべき旅の心と思ほゆるかな
誤りたる呉夫人の訃報を得たりし時
わがために柳の枝をさしたりし船を夫人も我れも見がたし
嫩江の月夜とおなじ世とも無き世をたちまちに見たまひし君
水荘の嫦娥よすでに天上に帰しつる君をわれ見たりけん
嫩江の洲の柳原分けたらば必ず君を見んここちする
斉斉恰爾を夜半に立ちつる旅人は月見るたびに君をこそ思へ
呉夫人の生死を知らず初めより夢の花ぞと思ひけらしな
このページはwww.j-text.com/showa/manmo.html様を転載させて頂きました。
定本与謝野晶子全集 第五巻歌集五
昭和五十六年二月十日第一刷発行
昭和五十七年一月二十日第二刷発行
定価 三千五百円
著者 与謝野晶子
発行者 野間省一
発行所 株式会社講談社
東京都文京区音羽二-一二-二一
郵便番号一一二 振替東京八-三九三〇
電話東京(〇三)九四五-一一一一(大代表)
組板 株式会社熊谷印刷
印刷所 多田印刷株式会社
製本所 大製株式会社
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