日本の上層部 < 中国の指導部
日本経済の「好調」は一時的なものか?
注目すべきは、日本の第3四半期GDPは総額1兆3720億ドルと予測を上回る成長を見せたにもかかわらず、現在の米ドルレートの情況下では、中国の第3四半期GDP(1兆4150億ドル)には及ばなかったというところだ。
▽しばらくは難しい輸出回復
日本のGDPに占める輸出の割合はこれまでずっと大きかった。しかし、第3四半期のデータを見ると、商業消費・個人消費が前四半期よりも1.1%増加してGDPの60%を占め、企業投資も0.8%増となった。海江田万里経済財政相によると、消費けん引の主な原因は政府の補助金政策だという。エコカーに対する補助金が終わる前に乗用車を購入する人が増え、また10月のたばこ値上げを控えて買いだめする人が多かった。さらに7月-9月は夏季であり、暑さに伴い消費が増加した。
日本円の対米ドルレートは15日正午、依然として82.72前後となった。11月1日、日本円の対米ドルレートは80.22にまで高まり、1995年4月以来の最高を記録した。円高や国外の需要などの影響を受け、日本の第3四半期の輸出の伸びは2.4%となり、前四半期の5.6%から大きく鈍化した。
これと同時に、日本はデフレのプレッシャーに直面している。「ワシントンポスト」は、「様々な兆しが、日本経済の成長が短期的なものでしかないことを示している。もし第4四半期もプラス成長を維持できれば、それはただの『幸運』としか言えないだろう。新興経済体の経済成長は比較的速いが、インフレの圧力が人々の購買力を制限している。日本企業の在庫も増加するだろう。このほか、円高は何度も輸出企業の最低ラインに触れており、日本の高い失業率(5%)も過小評価はできない。つまり、デフレは経済発展を妨げる最大の障害だと言える」としている。
ゴールド・マンサックスとバークレイズ・キャピタルは、日本経済は第4四半期に「大きく下落」するだろうとしている。第3四半期のデータが発表される前にブルームバーグが行ったアナリスト21人に対する調査では、日本経済の第3四半期GDP成長率は2.5%、第4四半期は2.2%に落ち込むだろうとの予測を出している。アナリストは、政府の経済刺激策が終了すれば、経済は停滞するだろうとの見方を示している。
先月、日本政府は630億ドルの経済刺激資金を投入した。小企業と地方経済へのサポートが目的で、GDP成長を0.6ポイントほど引き上げると見られている。日本政府はまた、デフレ脱却に向けた金融緩和を日本銀行に働きかけており、日本銀行は先月以降、ゼロ金利政策を維持すると同時に、5兆円を出資して国債やその他の資産を購入する計画を打ち出した。(編集SN)
「人民網日本語版」2010年11月16日
APEC首脳会議の焦点は通貨、貿易問題へ
だが先日閉幕した横浜首脳会議では、公式テーマは「変革と行動」で、従来からの焦点についても「首脳成長戦略」「アジア太平洋自由貿易圏創設の可能な道」の採択などいくつかの成果上げたものの、その影で本当の焦点はとうに他の問題へとシフトしていた。
横浜首脳会議の本当の焦点はG20ソウル首脳会議と同じく、通貨の流動性や貿易バランスの問題だった。
よく言われるように物事には軽重と緩急がある。APEC発足の本来の目的は、アジア太平洋地域の経済統合とFTAAPの促進にあった。だがこの古いテーマは、1994年のボゴール目標(アジア太平洋地域での自由で開かれた貿易と投資の実現)の発表から現在までに16年間が過ぎ、最初の目標達成期限の年にも入っている。緩めることも、焦ることもならない長期的な目標だといえる。一方、為替相場と通貨の問題では、金融危機の傷はまだ癒えず、人民元相場をめぐる争いも収まらず、米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和がもたらした巨大な流動性によって、APEC各国は現実的な衝撃に直面している。アジア太平洋諸国は輸出型の経済構造が多い。こうした国々にとって通貨戦争の脅威はより現実的で、より切迫したものだ。FRBの放出した6000億ドルの流動性および米ドルの下落に対して、欧州諸国がなお言葉で非難するだけの実効性を伴わない段階に止まっているとするなら、APEC諸国(議長国日本を含む)はたまらずに、すでに直接介入の段階に入っている。
G20と異なり、APEC首脳会議の出席者はより行動力を備えている。彼らは通貨の流動性、為替相場、貿易赤字の問題について議論する中で、言葉だけではなく実際の行動者としての役割を演じる事が多い。彼らはより激しくぶつかり合うし、その妥協もより実際的で有意義だ。
首脳会議の成果から見ると、これら「本当の焦点」の面で、各国は同様に虚が多くて実が少なく、コンセプトはあるが細部を欠き、共通認識はあるが実行されない計画やタイムテーブルについていわゆる「一致」をしているが、こうしたシンボル的な「一致」すら困難なG20と比べると、まだましだと言えよう。
通貨問題も貿易バランスの問題も、不景気が続き、各国共に経済回復・雇用・インフレの3大圧力を抱えている現状では、自国の経済戦略と社会安定、各国指導者の政権基盤に関わる原則的な問題だ。こうした問題において妥協を達成し行動に移すのは、元来極めて困難なことだ。APECが時代に応じて変化し、こうしたより切迫した、より重要な問題に焦点を移しても、横浜首脳会議により多くの成果を期待するのは、明らかに非現実的だ。(編集NA)
「人民網日本語版」2010年11月16日
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