抗原(ウイルスなど)に対して、抗体(免疫グロブリン)が反応して、抗原を処理するのが免疫システムの基本であるようだ・・・
免疫は、大まかに、母親から自然に引き継ぐもの(自然受動)、病原体に感染してできるもの(自然能動)、ワクチンでできるもの(人為能動)の三種があるようだ。
抗体(こうたい、antibody)とは、リンパ球のうちB細胞の産生する糖タンパク分子で、特定のタンパク質などの分子(抗原)を認識して結合する働きをもつ。抗体は主に血液中や体液中に存在し、例えば、体内に侵入してきた細菌・ウイルスなどの微生物や、微生物に感染した細胞を抗原として認識して結合する。抗体が抗原へ結合すると、その抗原と抗体の複合体を白血球やマクロファージといった食細胞が認識・貪食して体内から除去するように働いたり、リンパ球などの免疫細胞が結合して免疫反応を引き起こしたりする。これらの働きを通じて、脊椎動物の感染防御機構において重要な役割を担っている(無脊椎動物は抗体を産生しない)。一種類のB細胞は一種類の抗体しか作れず、また一種類の抗体は一種類の抗原しか認識できないため、ヒト体内では数百万〜数億種類といった単位のB細胞がそれぞれ異なる抗体を作り出し、あらゆる抗原に対処しようとしている。
「抗体」という名は抗原に結合するという機能を重視した名称で、物質としては免疫グロブリン(めんえき-、immunoglobulin)と呼ばれる。「Ig(アイジー)」と略される。すべての抗体は免疫グロブリンであり、血漿中のγ(ガンマ)グロブリンにあたる。
免疫系は睡眠や休息によって増強され[93] ストレスによって損なわれる。[94]
ダイエットは免疫系に影響することがある。例えば新鮮な果物、野菜、ある種の脂肪酸の豊富な食物は健康な免疫系を維持促進する。[95] 同じように胎児の低栄養状態は免疫系に生涯続く損傷を与えうる。[96] 伝統的な医学ではハーブの中に免疫系を刺激するものがあると信じられている。このようなハーブには、例えばエキナシア、甘草、距骨(玉縁)、サルビア、ニンニク、アメリカ・ニワトコの実、シイタケ、リンザイキノコ、ヒソップ、があり、さらにハチミツがある。研究によると、作用の仕方は複雑で特徴付けは困難にしても、そのようなハーブは実際免疫系を刺激することが示唆されている。[97]
自然獲得受動免疫
母親による受動免疫は自然に行われる獲得受動免疫の型であり、妊娠中母親によって胎児に運ばれる抗体を媒介とした免疫を指している。母親由来の抗体(MatAb)は胎盤細胞のFcRn受容体によって胎盤を通って胎児に渡される。これは大体妊娠第3月に起こり、[8] IgGが唯一の胎盤通過可能な抗体イソタイプである。[8] 受動免疫は母乳中のIgA抗体の移動によっても提供され新生児が自身の抗体を合成できるまで新生児の消化管に入って細菌感染を防御する。[7]
自然獲得能動免疫
自然に獲得される能動免疫はヒトが生きた病原体に接触したときに起こる。そして初回免疫応答が起こされ免疫記憶の保持に至る。[6] この型の免疫は人為的でないので自然である。免疫系の機能の多くの異常は能動免疫の形成に影響をもちうる。例えば免疫不全と免疫抑制において見られるように。
人為的獲得能動免疫
人為的獲得能動免疫は抗原を含んだ物質であるワクチンによって誘導できる。ワクチンは抗原に対する初期応答を刺激し、病気の症状は起こさない。[6] ワクチン接種という言葉はエドワード・ジェンナーが考えだし、ワクチン接種における開拓者的研究に鑑み、ルイ・パスツールもそれに合わせた。パスツールの用いた方法は、それらの病気の感染性病原体に対し、それらの病原体が重大な病気を起こす能力を失うような処理をする必要があった。パスツールはジェンナーの発見に敬意を表してワクチンという名称を一般名として採用した。パスツールの研究はジェンナーの上に構築された。
インフルエンザのワクチンとは?
ワクチンは、病原体を使って、病原体の抗体として作用するもの。
インフルエンザワクチンとは、不活性化ワクチンであり、副作用を伴うこともある・・・ 100%有効ではない・・・
不活性化ワクチンは化学薬品や熱処理で殺された微生物からなり、もはや感染性はもたない。例は、インフルエンザ、コレラ、腺ペスト、A型肝炎各ワクチン。コレラの型のワクチンの大部分は追加免疫が必要かも知れない。
///父親の場合(肺炎)
肺炎を起こして、抗生剤を投与して、感染症は消えた。だが、強い抗生剤を投与するしかなかった。そのため、菌は死んだが、アレルギーが出た。最終的に使った薬剤は好中球の機能を抑制するものだった。結局、回復できなかった。
好中球とマクロファージは侵入病原体を捜して体内全体を移動している貪食細胞である。[33] 好中球は通常血流中に存在し、貪食細胞中最も豊富である。通常全循環白血球の50%~60%を占める。[34] 特に細菌感染の結果生じる炎症急性期には好中球は走化性というプロセスによって炎症部位に移動する。通常感染が生じた場面で最初に到着する細胞である。マクロファージは多才な細胞で、組織中に存在し、酵素、補体タンパク質、それにインターロイキン-1のような制御因子など広範囲にわたる化学物質を産生する。[35] マクロファージは死体・ゴミあさりの(スカベンジャー)細胞としても働き、体内の役に立たなくなった細胞、およびその他の崩壊沈着物の除去および適応免疫系を活性化する抗原提示細胞として働く。[3]
---Wikipedia
ワクチン(ドイツ語: Vakzin、英語: vaccine)はヒトなどの動物に接種して感染症の予防に用いる医薬品。毒性を無くしたか、あるいは弱めた病原体から作られ、弱い病原体を注入することで体内に抗体を作り、以後感染症にかかりにくくする。弱いとはいえ病原体を接種するため、まれに体調が崩れることがある。
接種方法としては皮下注射、筋肉内注射が多いが、経口生ポリオワクチン(OPV)のように直接飲む(経口ワクチン)ものやBCGのようなスタンプ式のもの、変則的接種方法として、皮内注射などもある。
ワクチンを発見したのはイギリスの医学者、エドワード・ジェンナー。牛痘にかかった人間は天然痘にかからなくなる(またはかかっても症状が軽い)事を発見し、これにより天然痘ワクチンを作った。名前の由来はラテン語の「Vacca」(雌牛の意)から。その後、ルイ・パスツールが病原体の培養を通じてこれを弱毒化すれば、その接種によって免疫が作られると理論的裏付けを与え、応用の道を開いたことによって、さまざまな感染症に対するワクチンが作られるようになった。
ワクチンは大きく生ワクチンと不活化ワクチンに分かれる。
生ワクチン
毒性を弱めた微生物やウイルスを使用。液性免疫のみならず細胞免疫も獲得できるため、一般に不活化ワクチンに比べて獲得免疫力が強く免疫持続期間も長い。しかし生きている病原体を使うため、ワクチン株の感染による副反応を発現する可能性もある。
不活化ワクチン
死ワクチンとも呼ばれる。狭義の不活化ワクチンは化学処理などにより死んだウイルス、細菌、リケッチアを使用。取り扱いや効果において同様である抗原部分のみを培養したものを含めて不活化ワクチンと称されることもあり、以下その定義に含められるものを挙げる。生ワクチンより副反応が少ないが、液性免疫しか獲得できずその分免疫の続く期間が短いことがあり、このため複数回接種が必要なものが多い(代表例は三種混合ワクチン)。
2歳未満の乳幼児では、蛋白成分を含まない抗原(ハプテン)部分だけでは免疫を惹起できない。このため、肺炎球菌ワクチンなど蛋白ではない抗原を用いるワクチンでは、乳幼児に接種するに際しては別の蛋白と抗原を結合させるなどの工夫がされている。
また、インフルエンザワクチンについては、1971年以前の全粒子ワクチン使用による副反応(死亡あるいは脳に重篤な障害を残す)危険性が大きかったことや、それとは異なる現行の安全性の高いワクチンでも100%発症を抑えることはできないことから、接種を避けるべきとの意見も依然として存在する。しかしながら、ハイリスク群(高齢者や慢性疾患を持つ人など)の人がインフルエンザに罹患した場合に、肺炎等の重篤な合併症の出現や、入院、死亡などの危険性を軽減する効果が世界的にも広く認められている。これが、国連の世界保健機関(WHO)や世界各国が、特にハイリスク群に対するインフルエンザワクチン接種を積極的に薦めている理由である(国立感染症研究所ホームページより)。インフルエンザワクチンに限らず、予防接種を受ける際には接種当日の体調も含めて医師とよく相談することが大切である。
---Wikipedia
抗原抗体反応(こうげんこうたいはんのう)とは抗原と抗体間に起こる結合のこと。反応の様式を指すこともあり、その場合は抗原上の一つのエピトープと抗体上の一つのパラトープとの可逆反応を表す場合が多い。抗原抗体反応では、質量作用の法則が成り立ち、結合の強さ(親和性=アフィニティー=affinity)を結合定数(association constant)や解離定数(dissociation constant)で表す。また抗体は基本的に複数の抗原結合部位を持つので、多価の抗体が抗原に示す親和力をアビディティー(avidity)と呼び、アフィニティーと区別する。
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抗原(こうげん、英antigen 、略号Ag)とは、免疫細胞上の抗原レセプターに結合し、免疫反応を引き起こさせる物質。抗体やリンパ球の働きによって生体内から除去されることになる。
通常、細菌やウイルスなどの外来病原体や人為的な注射などで体内に入るタンパク質などが抗原となるが、自己免疫疾患では自分の体を構成している成分が抗原となって免疫反応が起きてしまう。また、アレルギー反応を引き起こす抗原を特にアレルゲンと呼ぶことがある。
抗原に対して有効な反応性を持った抗体を産生するためには多くの場合T細胞の関与が必要であるが、多糖類などのように抗体産生にT細胞を必要としない抗原もある。
抗原性と免疫原性
抗原は抗体と補い合うような語で、抗体が抗原に結合する機能によって定義されるのと同じように、抗原は抗体に結合する機能によって定義される。抗体に結合することができる抗原の性質を抗原性と呼ぶ。多くの場合、抗原は抗体を誘導する物質、免疫原、と同一であるが、抗原の中には既存の抗体に反応するけれども、生体内であらたな抗体を誘導しない物質も含まれている。このように抗原性を持つが免疫原性を持たない物質の中で特に低分子物質をハプテンと呼ぶ。ハプテンは低分子であるため、抗体の誘導に必要なT細胞を活性化する構造を持っていない。
医学的な利用
医学で抗原を細胞表面の機能性分子は抗原抗体反応で有無を検査することに使う。そこから、細胞表面に発現している物質はまだ同定されていない物質でも検査対象となり、これらすべてを抗原と呼んでいる。
抗原の発現は、腫瘍(しゅよう)細胞の性状を判定するのに有用な所見であり頻用される。血中に現れた抗原は腫瘍マーカーと呼ばれ、腫瘍の早期発見や検索、術後フォローアップに重要である。
さらに、癌(がん)の表面には癌特異的な癌抗原が存在し、癌抗原をターゲットにした免疫療法として癌ワクチン療法などが癌治療に応用されている。
また、免疫細胞の持つ主要組織適合抗原(MHC、人間のものは特にHLAと呼ぶ)は自己と他者の認識を司る重要なセンサーであり、HLAの型(白血球型)は臓器移植、特に骨髄移植の際に適合させる必要がある。
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抗体(こうたい、antibody)とは、リンパ球のうちB細胞の産生する糖タンパク分子で、特定のタンパク質などの分子(抗原)を認識して結合する働きをもつ。抗体は主に血液中や体液中に存在し、例えば、体内に侵入してきた細菌・ウイルスなどの微生物や、微生物に感染した細胞を抗原として認識して結合する。抗体が抗原へ結合すると、その抗原と抗体の複合体を白血球やマクロファージといった食細胞が認識・貪食して体内から除去するように働いたり、リンパ球などの免疫細胞が結合して免疫反応を引き起こしたりする。これらの働きを通じて、脊椎動物の感染防御機構において重要な役割を担っている(無脊椎動物は抗体を産生しない)。一種類のB細胞は一種類の抗体しか作れず、また一種類の抗体は一種類の抗原しか認識できないため、ヒト体内では数百万〜数億種類といった単位のB細胞がそれぞれ異なる抗体を作り出し、あらゆる抗原に対処しようとしている。
「抗体」という名は抗原に結合するという機能を重視した名称で、物質としては免疫グロブリン(めんえき-、immunoglobulin)と呼ばれる。「Ig(アイジー)」と略される。すべての抗体は免疫グロブリンであり、血漿中のγ(ガンマ)グロブリンにあたる。
種類
抗体は定常領域の構造の違いにより、いくつかのクラス (アイソタイプ)に分けられる。多くの哺乳類では、定常領域の構造の違いによりIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類のクラスの免疫グロブリンに分類される。それぞれのクラスの免疫グロブリンは大きさや生理活性が異なり、例えばIgAは粘膜分泌型の分子であり、IgEは肥満細胞に結合してアレルギー反応を引き起こす。さらにヒトの場合、IgGにはIgG1~IgG4の4つのサブクラスが、IgAにはIgA1とIgA2の2つのサブクラスがあり、それぞれ少しずつ構造が異なっている。IgM、IgD、IgEにはサブクラスはない。
また、免疫グロブリンは血中や粘膜への分泌型の他、B細胞の細胞表面に結合した型(膜型)のものがある。
ヒト免疫グロブリンの分類
重鎖は定常領域の違いにより、γ鎖、μ鎖、α鎖、δ鎖、ε鎖に分けられ、この違いによりそれぞれIgG、IgM、IgA、IgD、IgEの5種類のクラス(アイソタイプ)の免疫グロブリンが形成される。これらの分泌型の免疫グロブリンの他、B細胞表面に結合したものがある。これは、分泌型免疫グロブリンが細胞表面に接着しているのではなく、細胞膜貫通部分をもったものであり、B細胞受容体 (B cell receptor; BCR) と呼ばれる。BCRは2本の重鎖と2本の軽鎖を持ち、細胞膜貫通部分にIgα/Igβヘテロ二量体を持つ。アイソタイプの違いにより、免疫グロブリンの持つ「エフェクター機能」が異なる。
IgG
詳細は免疫グロブリンGを参照
IgGはヒト免疫グロブリンの70-75%を占め、血漿中に最も多い抗体である。軽鎖2本と重鎖2本の4本鎖構造をもつ。IgG1、IgG2、IgG4は分子量は約146,000であるが、IgG3はFab領域とFc領域をつなぐヒンジ部が長く、分子量も170,000と大きい。IgG1はIgGの65%程度、IgG2は25%程度、IgG3は7%程度、IgG4は3%程度を占める。血管内外に平均して分布する。
IgM
詳細は免疫グロブリンMを参照
IgMはヒト免疫グロブリンの約10%を占める。基本の4本鎖構造が5つ結合した構造をもつ。分子量は970,000。通常血中のみに存在し、感染微生物に対して最初に産生され、初期免疫を司る免疫グロブリンである。
IgA
詳細は免疫グロブリンAを参照
IgAはヒト免疫グロブリンの10-15%を占める。分子量は160,000。分泌型IgAは2つのIgAが結合した構造を持つ。IgA1は血清、鼻汁、唾液、母乳中に存在し、腸液にはIgA2が多く存在する。
IgD
IgDはヒト免疫グロブリンの1%以下である。B細胞表面に存在し、抗体産生の誘導に関与する。
IgE
詳細は免疫グロブリンEを参照
IgEはヒト免疫グロブリンの0.001%以下と極微量しか存在しない。寄生虫に対する免疫反応に関与していると考えられるが、寄生虫の稀な先進国においては、特に気管支喘息やアレルギーに大きく関与している。
その他の生物での分類
免疫グロブリンは無脊椎動物には見られず、軟骨魚類以降の脊椎動物で見つかっている。それぞれの生物ごとに複数のクラスの免疫グロブリンを持つが、その種類は綱ごとに違いが見られる[4]。IgMのみがそのすべてで共通に見られる。
軟骨魚類
IgMの他にIgW、IgW (long)、IgNARと呼ばれるクラスを持つ
硬骨魚類
IgMとIgDを持つ
ハイギョ
IgM, IgW, IgW (long) を持つ
両生類(アフリカツメガエル)
IgMの他、IgXとIgYと呼ばれるクラスを持つ
鳥類(ニワトリ)
IgM、IgA、IgYを持つ
哺乳類
IgM、IgD、IgG、IgA、IgEの5種類を持つ
また、同じ哺乳類でもサブクラスの種類には種ごとに違いが見られる。例えばヒトIgGのサブクラスがIgG1~IgG4の4種類であるのに対し、マウスIgGではIgG1, IgG2a, IgG2b, IgG3の4種類である。
働き
抗体は血液中や体液中に遊離型として存在するか、またはB細胞表面上にB細胞受容体として存在する。特定の抗原と結合する機能が抗体の最も重要な機能である。
抗体はウイルスや細菌などの微生物、あるいは毒素などを抗原として結合するが、抗原と抗体が結合すると、凝集反応(免疫沈降)をおこし、その凝集した抗原抗体複合体は、マクロファージやその他の食細胞が認識し貪食する。その際、抗体はそのFc領域をもってマクロファージ等に認識され貪食されやすくする役割をする(オプソニン作用)。そしてマクロファージに貪食された抗原は、マクロファージ内で分解され、T細胞にペプチドーMHC複合体として提示され、さらなる免疫反応がおこる。また抗体は補体活性化作用を通した免疫反応もおこす。抗体の中には、結合するだけで微生物の感染力を低下させたり、毒性を減少させたりする働きをもつものもある(中和作用)。これらの機構により、抗体は体内に侵入してきた細菌・ウイルスなどの微生物・毒素や、微生物に感染した細胞を認識して体内から排除しようとする。
B細胞表面に存在するBCRは、B細胞の抗原認識受容体として働き、特異的な抗原が結合することで、抗体産生細胞(形質細胞)や体細胞超変異、クラススイッチ組み換え等を経た後の、より抗原に対する親和性の高いBCRをもった抗体産生細胞や記憶B細胞への分化を引き起こす。抗体産生細胞はBCRと同じ抗原特異性、アイソタイプを持つ抗体を産生する。
抗原と抗体の結合
抗体が抗原と結合する際、抗原の一部分(エピトープ)のみを認識して結合する。抗体はエピトープの立体構造を厳密に認識して結合し、エピトープのアミノ酸配列の違いはもちろんのこと、荷電の差、光学異性体、立体異性体の違いでも結合しなくなる.エピトープと結合する抗体側の部分をパラトープという。エピトープとパラトープの間には、水素結合、静電気力、ファンデルワールス力、疎水結合などの引力がかかり、これらの力により安定して結合する。このエピトープとパラトープの間の結合力のことをアフィニティ affinity という。
ただし、抗体は基本の4本鎖構造においては、抗原と結合する部位は2カ所であるが、IgMは五量体、IgAは二量体を形成するのでさらに多くの抗原認識部位を持っている。また、抗原によってはエピトープを複数もつ。このため抗体によっては、抗原と抗体は1か所で結合したり(1価)、同時に複数か所で認識したりする(多価)。このように抗原と抗体が結合するときの結合力の総和をアビディティ avidity と呼ぶ。多価の結合の際、結合力が相乗的に働くため、アビディティはアフィニティよりも高くなる。
オプソニン作用
マクロファージや好中球といった食細胞は、もともと細菌や死んだ細胞に結合する能力を持っているが、こういった細菌や死細胞に抗体や補体が結合すると、食細胞がもつ補体受容体やFc受容体を介して結合し、食作用を促進する。これをオプソニン作用という。
補体活性化機能
抗体は補体の古典経路によって補体を活性化し、抗体の結合した細菌に補体を結合させて細菌の細胞膜を破壊し、溶菌する。またオプソニン作用で食細胞による抗原の食作用を促進させる。IgG1、IgG3、IgMがもつ機能である。IgG2は補体活性化能は低く、IgG4、IgA、IgD、IgEはこの機能をもたない。
中和作用
細菌やウイルスなどの微生物や、ヘビや虫などの毒素は、自らの構造の一部を細胞表面に結合させて細胞内に侵入し、毒性を示す。細胞に侵入する際に結合させる部分に抗体が結合してしまえば、微生物や毒素は細胞に結合できず、毒性を示せない。このように抗体は、結合することによって微生物の感染力を低下させたり、毒素の毒性を減少させたりすることがある。例えばインフルエンザウイルスは、ウイルス表面のヘマグルチニンを気道上皮細胞のシアル酸残基に結合させて細胞内に侵入するため、ヘマグルチニンに対する抗体はインフルエンザの感染力を低下させる。このことを中和作用という。
免疫グロブリンの多様性
あらゆる抗原に対応するために、体内では可変領域の異なる重鎖と軽鎖を何百・何千万種類と用意する。このような抗体の多様性をどのようにして作り出しているのかは、長い間不明であった。1897年エールリヒは、もともとさまざまな抗原に対する鋳型を細胞表面にもっている細胞があり、その鋳型が抗原に出会うと、それが刺激となってその抗原に対する抗体を産生すると考えた(側鎖説)[5]が、ラントシュタイナーは、新しく人工合成された化合物に対しても抗体が作用することを示し、この世になかった物質に対する鋳型をもともと細胞が持っていたとは考えにくく、抗体の多様性は側鎖説だけでは説明がつかないと考えた。その後、抗体は抗原に出会うとそれに結合できるように自らの姿を変えることができるという説(鋳型説)や、抗原の刺激により抗体が後天的に作られるという説(指令説)が唱えられたが、1959年エーデルマンが免疫グロブリンの基本構造を解明し[6][7]、また1958年クリックにより、タンパクは遺伝子の情報に基づいて作られることが明らかになる(セントラルドグマ)と、鋳型説・指令説は否定的と考えられた。それに代わってバーネットの提唱したクローン選択説[8](1957年)が受け入れられるようになった。つまり、リンパ球はそれぞれ1種類の抗体しか作ることができず、そのため体内には非常に多くの種類のリンパ球が先天的に用意されている。そして抗原が体内に侵入すると、その抗原と結合できるリンパ球が選ばれて増殖し(クローン)、この抗原に対する抗体を産生する、という説である。この説は種々の実験によって正当性が証明されていったが、クローン選択説もエールリヒの側鎖説と同じように、全く未知の抗原に対応できるような抗体を、遺伝子はどうやって用意できるのか、という点は不明であった。非常に多くの種類の抗体の構造がひとつひとつ全て遺伝子に書き込まれているとは考えにくかった。
1976年利根川らは免疫グロブリンの遺伝子再構成という現象を発見し[9][10]、この抗体の多様性に関する遺伝子レベルの謎に答えを出した。その他、体細胞超変異、遺伝子変換、クラススイッチ組み換えといった現象も抗体の多様性に関与していることが知られている[11]。
---Wikipedia

免疫(immunity)というのは実体的な言葉で、感染、病気、あるいは望まれない侵入生物を回避するために十分な生物的防御力を持っている状態を指す。免疫には特異的な要素をもつものと、非特異的な要素をもつものがある。非特異的要素は障壁として働いたり、抗原特異性に拘わらず、広い範囲の微生物を排除する働きをもつ。免疫系のもう一つの種類の要素は、遭遇した新しい病気各々にそれら要素を適応させて病原体特異的な免疫を生じることができるようにする。
適応免疫はしばしば免疫がどのように誘導されるかに依存して2つの主要な型に分けられる。自然獲得された免疫は、病気を起こす病原体との接触で生じ、この際病原体の接触は故意ではない。対して人為的獲得免疫はウイルス接種のような意図的な行為によってのみ発達するものである。自然獲得免疫も人為的獲得免疫も免疫が宿主に誘導されるかあるいは免疫された宿主から受動的に移動するかによってさらに分けられる。受動免疫は免疫をもった宿主から抗体や活性化T細胞を移動して付与される。有効なのは短期間で普通数か月しか続かない。一方能動免疫は宿主体内に抗原によって誘導されもっと長期間続いて時には生涯にわたる。下図に免疫のこれら分類をまとめた。
適応免疫のより細かい分類は関与する細胞の特徴でなされる。体液性免疫は分泌された抗体で媒介されるが細胞性免疫で提供される防御はT細胞のみである。体液性免疫は生体が自分自身の抗体を産生するとき能動的であり、個人間で抗体を移すとき受動的である。同様に細胞性免疫では生体自身のT細胞が刺激されるとき能動的で、他の生体からT細胞をもって来るときは受動的である。
免疫理論の歴史
19世紀のコレラ流行を表したもの
免疫の概念は数千年の間人類の興味を引いていた。前史時代の病気に対する考えは、超自然的な力が原因で、神あるいは敵のそばで魂に尋ねてきた、悪い行いや悪魔の考えを神が罰する形が取られたものとされた。[1] ヒポクラテスと19世紀の間には科学的方法の基礎が作られ、病気は4つの気質(血、粘液(痰)、黄色胆汁、黒色胆汁)の1つが変化するかバランスが崩れることに帰せられた。[2] この期間に人気があったのは瘴気論である。コレラや黒死病は"悪い空気"の有毒な形である瘴気によって起こるとされた。[1] 誰でも瘴気に接触すると病気に罹った。
近代的な言葉「免疫」immunityはラテン語のimmunisに由来する。兵役サービス、納税、あるいは他の公共へのサービスからの免除を意味している。[3] 書いた記録に「免疫」概念が最初に現れるのは、アテネのツキジデスによってBC430年に書かれたものである。彼は『病人や死にそうな人は病気から回復した人々によって手厚く看護された。なぜなら彼らは病気の経過が分かっており彼ら自身はもう心配はなかったから。そして以前病気に罹ったものは2回は罹らず死ぬことはない』と記した。[3] 免疫(immunes)なる言葉がBC60年頃詩人マルカス・アネウス・ルカヌスによって詠まれた叙事詩"フォーサリア"中にも見受けられる。彼は北アフリカ部族の蛇毒抵抗性を描写した。[2]
特定の病気の病原体によって引き起こされる免疫(immunity)についての記述が最初に臨床的な視点でなされたのは、おそらくイスラムの医者アル・ラッツによって書かれた『Kitab fi al-jadari wa-al-hasbah』(天然痘および麻疹についての論文、翻訳1848年[4])であるだろう。論文中彼は天然痘と麻疹の臨床描写を行い、これらの特定の病気を起こすものに接触すると長続きする免疫immunityがつくことを示した(彼は免疫immunityと言う言葉を使わなかったのだが)。[2] しかし誕生後間もない科学である免疫学が、いかに細菌が病気を起こすか、そして感染後いかに人の体がさらに障害を受けないよう抵抗力を獲得するのかの説明を始めるまで、ルイ・パスツールによる病気の病原体説まで待たねばならなかった。[3]
ルイ・パスツール、実験室にて。1885年
受動免疫による治療はポントスのミトリデイテス4世に始まるだろう。彼は毒に対して、自身を強固にしたいと思い、抵抗力を付けるために毎日致死量以下の毒を飲んだ。ミトリデイテスは地球上のあらゆる毒から身を守るために宇宙の解毒者になるとも言った。[2] 約2,000年近くの間毒は病気の原因に最も近いものと考えられ、ルネサンス時代は様々な物質の複雑な混合物、これはミトリデイトと呼ばれたが、それが中毒の治癒に用いられた。[2] この治療法の改良版は『Theriacum Andromachi』で、19世紀までよく用いられた。[5] 1888年エミリー・ルーとアレキサンドル・イェルサンはジフテリア菌毒素を単離した。そして1890年ベーリングと北里によってジフテリアと破傷風に対する免疫に基づいて抗毒素が発見された後、抗毒素が近代治療免疫学の主要で最初の成功となった。[2]
ヨーロッパでは能動免疫の導入が始められ、その試みに天然痘が含まれていた。しかしながら免疫処置は少なくとも千年の間様々な形で存在していた。[3] 免疫処置を最初に用いたのは知られていないが、AD1,000年頃であり、中国人は天然痘のかさぶたで作られた粉末を乾かし吸い込むというような免疫処置の形となるものを実際に行い始めていた。[3] 15世紀頃のインドのオットマン皇帝の時代と東アフリカで、(天然痘のかさぶたの粒から作った粉末を用いて皮膚を突くことによって)あばたを作ることはごく普通のことになっていた。[3] このあばた作りは18世紀初めメアリー・ウォートレー・モンターギュ嬢によって西洋に紹介された。[3] 1796年エドワード・ジェンナーは死んでいないウイルスだが天然痘に対する免疫を誘導する牛痘を用いたより安全な接種法を導入した。ジェンナーの取ったやり方の成功とそれが一般的に認められたことは、その後19世紀終わりにワクチン接種の性質の一般性がパスツールによって導き出され発展したことへつながった。[2]
受動免疫
受動免疫は既存の抗体の形で、ある個人から他人へ能動免疫を移動することである。受動免疫は母親の抗体が胎盤を経由して胎児に移動されるときに自然に起こりうる。受動免疫は、高レベルのヒト(あるいはウマ)の何らかの病原体や毒に対する抗体を免疫のない個体に移すような場合に、人為的にも誘導される。受動免疫処置は感染の高いリスクがあるときか体が自身の免疫応答を発達させるに十分な時間的余裕がないとき、あるいは罹患中か、免疫抑制的な病気の症状を治めるために用いられる。[6] 受動免疫は即時的な防御を提供するが、生体自身は記憶を生じさせない。したがって患者は後で同じ病原体に感染するリスクをもつ。[7]
自然獲得受動免疫
母親による受動免疫は自然に行われる獲得受動免疫の型であり、妊娠中母親によって胎児に運ばれる抗体を媒介とした免疫を指している。母親由来の抗体(MatAb)は胎盤細胞のFcRn受容体によって胎盤を通って胎児に渡される。これは大体妊娠第3月に起こり、[8] IgGが唯一の胎盤通過可能な抗体イソタイプである。[8] 受動免疫は母乳中のIgA抗体の移動によっても提供され新生児が自身の抗体を合成できるまで新生児の消化管に入って細菌感染を防御する。[7]
生産されたジフテリア抗毒素の最初の瓶詰めの1つ(1895年という年号表示が見える)
人為的獲得受動免疫
人為的な獲得受動免疫は抗体を移動させて短期間の免疫処置を行うもので、抗体はヒトあるいは動物の血漿としてプールした免疫グロブリンとして静注(IVIG)で、筋注(IG)で、ないしモノクローナル抗体(NAb)の形でなどいくつかの形にして投与されうる。受動的な移動は例えば低γグロブリン血症のような免疫不全症の場合で予防的に用いられている。[9] これは急性感染症のいくつかの型の治療や中毒の治療にも用いられている。[6] 受動免疫によって誘導される免疫はごく短い期間しか続かないもので、可能性のあるリスクとしては、特にヒト由来のγグロブリンによる過敏症反応、血清病である。[7]
受動免疫の人為的誘導は1世紀以上も感染症を治療するのに用いられてきた。そして、抗体はまだ姿を見せていなかったので、しばしばある種の感染症の唯一の特異的治療であった。免疫グロブリン療法は、1930年代まで、また、抗生物質サルフォナマイドが導入された後も、重症呼吸器感染症の治療において第一線の治療法であり続けた。[9]
細胞性免疫の受動的移動
細胞性免疫の受動的あるいは適応的移動はある個人の感受性のあるあるいは活性化したT細胞を他人に移すことで付与される。これはヒトでは滅多に行われない。組織適合性(の一致)のあるドナーが必要とされることがしばしば困難であることによる。不一致のドナーを用いるとこの型の移動は重篤な移植片対宿主病の危険をもたらす。[6] しかしいくつかのがんの型や免疫不全を含んだ病気の治療には用いられてきた。骨髄移植では(未分化の)造血性幹細胞が移されるので、この型の移動は、これと異なっている。
能動免疫
免疫応答が病原体の感染(あるいはワクチン初回投与)から始まり能動的な免疫記憶を形成して維持される時間的経過。
B細胞とT細胞が病原体によって活性化されると記憶B細胞およびT細胞が産生される。動物の生涯にわたってこの記憶細胞は、遭遇したそれぞれの特異性のある病原体を記憶しておりその病原体が再び感知されると、つよい応答を繰り出す。この型の免疫は能動的かつ体の免疫系が将来の接触に対して準備するので適応的である。能動免疫はしばしば細胞性も体液性も含み、自然免疫系からの入力も含む。自然免疫系は誕生時から備わり経験の有無に拘わらず病原体から個人を防御する。しかし適応免疫は感染あるいは免疫処置がなされた後だけ発動するので、生存中"獲得"されるものである。
自然獲得能動免疫
自然に獲得される能動免疫はヒトが生きた病原体に接触したときに起こる。そして初回免疫応答が起こされ免疫記憶の保持に至る。[6] この型の免疫は人為的でないので自然である。免疫系の機能の多くの異常は能動免疫の形成に影響をもちうる。例えば免疫不全と免疫抑制において見られるように。
人為的獲得能動免疫
人為的獲得能動免疫は抗原を含んだ物質であるワクチンによって誘導できる。ワクチンは抗原に対する初期応答を刺激し、病気の症状は起こさない。[6] ワクチン接種という言葉はエドワード・ジェンナーが考えだし、ワクチン接種における開拓者的研究に鑑み、ルイ・パスツールもそれに合わせた。パスツールの用いた方法は、それらの病気の感染性病原体に対し、それらの病原体が重大な病気を起こす能力を失うような処理をする必要があった。パスツールはジェンナーの発見に敬意を表してワクチンという名称を一般名として採用した。パスツールの研究はジェンナーの上に構築された。
1979年の天然痘撲滅以前の、ワクチン接種呼びかけのポスター。上から、「新年に当たりワクチン接種をしましょう」、「天然痘ウイルス(smallpox)に対する」、「今すぐワクチン接種を」などとある。
1807年バイエル人たちが、兵役動員のために必要な、天然痘に対するワクチン接種の最初のグループとなった。天然痘の広がりが戦闘に関与していたため、[10] その後の戦争の広がりとともにワクチン接種の施行は増えて行った。
伝統的なワクチンには4型がある:[11]
不活性化ワクチンは化学薬品や熱処理で殺された微生物からなり、もはや感染性はもたない。例は、インフルエンザ、コレラ、腺ペスト、A型肝炎各ワクチン。コレラの型のワクチンの大部分は追加免疫が必要かも知れない。
生きた弱毒ワクチンは、病気を起こす力をなくす条件で培養した微生物からなる。これによる応答は持続性があり一般に追加免疫は不要である。例は黄熱病のほか、麻疹、風疹、おたふく風邪各ワクチン。
微生物が産生する類毒素からなる。類毒素は微生物の毒素を不活性化した物質で、これらが(微生物自身よりも)病気をもたらす場合、毒素に出合う前に用いる。類毒素ベースのワクチンには破傷風とジフテリア各ワクチンが含まれる。
サブユニットワクチンは、病気起因性の病原体の小断片から構成される。この例として目立つのはB型肝炎ワクチンである。
大部分のワクチンは消化管からの吸収はあまり期待できないので皮下注射で行われる。ポリオ、腸チフス、およびコレラの弱毒生ワクチンは、腸をベースとした免疫を付与するため経口的に与えられる。
---Wikipedia
免疫系(めんえきけい、immune system)は生体内で病原体やがん細胞を認識して殺滅することにより生体を病気から保護する多数の機構が集積した一大機構である。この機構はウイルスから寄生虫まで広い範囲の病原体を感知し、作用が正しく行われるために、生体自身の健常細胞や組織と区別しなければならない。この認識機構は、病原体は宿主にうまく感染できるように適応し新たな進化も遂げているので、複雑である。
この困難な課題を克服して生き延びるために、病原体を認識して中和する機構が一つならず進化した。細菌のような簡単な単細胞生物でもウイルス感染を防御する酵素系をもっている。その他の基本的な免疫機構は古代の真核生物において進化し現代の子孫である植物、魚類、ハ虫類、昆虫に残存している。これらの機構はディフェンシンと呼ばれる抗微生物ペプチドが関与する機構であり、貪食機構であり、[1] 補体系である。ヒトのような脊椎動物はもっと複雑な防御機構を進化させた。脊椎動物の免疫系は多数のタイプのタンパク質、細胞、器官、組織からなり、それらは互いに入り組んだダイナミックなネットワークで相互作用している。このようないっそう複雑な免疫応答の中で、ヒトの免疫系は特定の病原体に対してより効果的に認識できるよう長い間に適応してきた。この適応プロセスは適応免疫あるいは獲得免疫(あるいは後天性免疫)と呼ばれ、免疫記憶を作り出す。特定の病原体への初回応答から作られた免疫記憶は、同じ特定の病原体への2回目の遭遇に対し増強された応答をもたらす。獲得免疫のこのプロセスがワクチン接種の基礎である。
免疫系が異常を起こすと病気になる場合がある。免疫系の活動性が正常より低いと、免疫不全病が起こり感染の繰り返しや生命を脅かす感染が起こされる。免疫不全病は、重症複合免疫不全症のような遺伝病の結果であったり、レトロウイルスによって起こされる後天性免疫不全症候群 (AIDS) のような医薬品や感染が原因であったりする。反対に自己免疫病は、正常組織に対しあたかも外来生物に対するように攻撃を加える、免疫系の活性亢進からもたらされる。ありふれた自己免疫病として、関節リウマチ、I型糖尿病、紅斑性狼瘡がある。免疫学は免疫系のあらゆる領域の研究をカバーし、ヒトの健康や病気に深く関係している。この分野での研究をさらに推し進めることは健康増進および病気の治療において重大な役割を果たすことが期待できる。
重層的防御体制
免疫系は、感染から生体を、特異性を高めながら重層的な防御体制で守る。最も簡単なのは、物理的な障壁で、細菌やウイルスが生体に侵入するのを防ぐことである。病原体がこの障壁を破ったとき、即座に自然免疫(先天性免疫とも呼ばれる)が発動し非特異的な応答を行う。自然免疫はあらゆる植物および動物に認められる。[2] しかし病原体が自然免疫もうまく逃れたなら脊椎動物は第3階層の防御反応を繰り出す。これが適応免疫であり、自然免疫によって発動される。ここで免疫系は感染を受ける間、応答を病原体への認識が改善されるよう適応する。この改善された応答は、次いで、病原体が排除された後も免疫記憶として残り、この病原体が侵入するたびにより早く強力な攻撃が加えられるようにする。[3]
免疫系の特徴
項目 自然免疫系 適応免疫系
応答の特異性 なし 病原体あるいは抗原特異的
接触後最大応答までの時間 短い(即座) 長い
関与する成分 細胞性および体液性 細胞性および体液性
免疫記憶 なし あり
生物界での分布 ほとんど全ての生物 顎をもった脊椎動物
自然免疫も適応免疫もその効果のほどは自己と非自己の分子の区別ができる能力をもった免疫系かどうかにかかっている。免疫学において自己分子とは、免疫系によって外来物質と区別できるような自己の身体要素のことである。[4] 反対に非自己分子とは、免疫系によって外来物質と区別される外来分子のことである。非自己分子の一つのクラスは、抗原(antigen; これはantibody generatorの短縮語である)と呼ばれ、特異的な免疫受容体に結合し、免疫応答を誘発する物質と定義される。[5]
体表面障壁
生体を感染から守る障壁にはいくつかあって、機械的なもの、生化学的なもの、および生物学的なものがある。葉に見られるワックス性クチクラ、昆虫の外骨格、産み落とされた卵の殻や膜、そして皮膚。これらは機械的障壁の例であって、感染に対する防御ラインの第一線にある。[5] しかし生体は外界に対して完全に密閉されることはできないのだから、肺、腸、性尿器路など、外界に対して開口された部分を守るのには他の系を作動させる。肺では咳やくしゃみは病原体や呼吸管の他の刺激物質を機械的に排除する。涙や尿を流す行動も病原体を機械的に追い出すし、呼吸管や胃腸管の分泌粘液には微生物を捕らえ絡み取る働きがある。[6]
生化学的障壁も感染防御に働く。皮膚や呼吸管はβ-ディフェンシンのような抗微生物ペプチドを分泌する。[7] 唾液、涙、母乳中のリソゾームやホスホリパーゼA2等の酵素も抗細菌物質である。[8][9] 膣分泌液は初経後のわずかにでも酸性に傾いたとき化学的障壁として働くし、精液は病原体殺滅性のあるデフェンシンや亜鉛を含む。[10][11] 胃には胃酸およびタンパク質分解酵素があって、摂取された病原体に対して強力な化学的防御の働きがある。
生殖尿管や胃腸管では共生細菌叢が病原菌と食物や繁殖場所をめぐって競争して生物学的障壁として働いている。この場合、pHや利用できるイオンのような環境を変えることもある。[12] このことは病原体が病気を起こすに至る十分な数まで増殖できる可能性を減らす。しかし大部分の抗生物質は細菌に対し非特異的に作用するし、カビには効かないので抗生物質を経口的に飲むとカビを異常に増殖させ、膣カンジダ症(真菌感染)のような症状を引き起こす。[13] ヨーグルトに通常含まれている乳酸菌のような純粋カルチャーによって良性細菌叢を再導入することは、子供たちの腸管感染での微生物集団のバランスを健康なものに保つのを助ける働きがあるという証拠が出されている。これは細菌性胃腸炎、炎症性腸疾患、尿路感染症、術後感染の研究の予備的データに希望を与えている。[14][15][16]
自然免疫
詳細は自然免疫系を参照
微生物や毒性物質が生体内にうまく侵入できると、それらは生体細胞と接触し、自然免疫が発動する。この自然免疫応答は普通生体が微生物を構造パターン認識受容体で感知するときに発動する。この構造パターンは広い範囲の微生物グループの間で保存されている。[17] あるいは細胞は障害を受けると警戒シグナルを出す。それらの全てではないが多くは病原体を認識する同じ受容体によって感知される。[18] 自然免疫系防御は非特異的である。つまり病原体に対して包括的な応答を行う。[5] この系は病原体に対し、長期間に渡って効く免疫はもたない。自然免疫系は大部分の生物にとって宿主防御の主要な系である。[2]
体液性および化学的障壁
炎症
詳細は炎症を参照
炎症は免疫系が感染に対し最初に起こす応答の一つである。[19] 炎症の徴候は発赤と腫れで、組織に流入する血液の増加によって起こされる。炎症は傷害や感染を受けた細胞が分泌するエイコサノイドとサイトカインによって生じる。エイコサノイドにはプロスタグランジンが含まれ、この物質は炎症に関係した場合、発熱と血管拡張を起こす。また同じくエイコサノイドに含まれるロイコトリエンはある種の白血球(リンパ球)に作用する。[20][21] 一般的なサイトカインとしては白血球間の情報伝達に関与したインタロイキン、走化性を増強するケモカイン、宿主細胞のタンパク質合成を停止させるようなウイルスに対して、抗ウイルス活性をもったインターフェロンなどがある。[22] 増殖因子や細胞毒性因子も分泌される場合がある。これらのサイトカインや他の化学物質は免疫細胞を感染部位に動員し、病原体を排除してから損傷を受けたいかなる組織も治癒が促進されるように作用する。[23]
補体系
詳細は 補体 を参照
補体系は外来細胞の表面に攻撃を加える生化学的カスケードである。20以上のタンパク質が関与し、抗体による病原体殺滅を補 強する能力をもつ、という意味で名づけられた。補体は自然免疫応答において主要な体液性要素をなす。[24][25] 補体系をもつ種は数多くあり、哺乳類以外にも、植物、魚類、それに無脊椎動物の数種がある。[26]
ヒトではこの応答はこれら微生物に付着した抗体に補体が結合することにより、あるいは微生物の表面の炭水化物に補体タンパク質が結合することにより活性化される。この認識シグナルが、速やかな殺滅応答を発動する。[27] 応答のスピードを決めるのは引き続いて起こる補体分子のタンパク質分解の活性化によって起こるシグナル増強の程度である。補体タンパク質自身もタンパク質分解酵素である。補体タンパク質が微生物に付着した後、補体自身のタンパク質分解酵素活性が発現し、続いて他の補体タンパク質分解酵素が活性化され、これが連続して起こる。これは触媒反応カスケードを引き起こし、最初のシグナルを正のフィードバックでコントロールしながら増強するものである。[28] このカスケードはペプチドを賛成して免疫細胞を誘引し、血管の透過性を更新し、病原体の表面をオプソニン化(コート)して破壊できるようマークを付ける。補体がこうしてまとわりつくことによっても細胞膜は直接破壊され病原体は殺される。[24]
細胞障壁
正常のヒト循環血の走査電子顕微鏡写真。赤血球および突起物で覆われた少数のリンパ球を含んだ白血球を認め、ほかに単球、好中球、多数の小さな板状の血小板を認める。
白血球は独立した単細胞生物のように行動し、自然免疫系の右腕である。[5] 自然免疫系の白血球には貪食細胞(マクロファージ、好中球、および樹状細胞)、マスト細胞(肥満細胞)、好酸球、好塩基球、NK細胞が含まれる。これらの細胞はより大きな病原体に対してもそれを認識し排除するが、その際、接触して攻撃するか、あるいは微生物を呑み込んで殺滅する。[26] これら自然免疫系細胞も、適応免疫系の活性化に重要なメディエータである。[3]
貪食機能は細胞性自然免疫で重要な役割をもっており、病原体や粒状物を呑み込み食す貪食細胞と呼ばれる細胞によって行われる。貪食細胞は一般に病原体を捜して体内をパトロールするが、サイトカインによって特定の部位に誘導される。[5] 病原体は一旦貪食細胞に呑み込まれるとファーゴソームと呼ばれる細胞内小胞によって捕らえられ、続いてリソソームと呼ばれる今一つ別の小胞と融合してファーゴリソソームを形成する。病原体は消化酵素によって、あるいは呼吸バーストに続くフリーラジカルのファーゴリソソームへの放出によって殺滅される。[29][30] 貪食機能は栄養素獲得のために進化したが、貪食細胞ではこの役割が拡張されて病原体の貪食を含んだ防御機構として働く。[31] 貪食機能は、貪食細胞が脊椎動物にも無脊椎動物にも存在することから、おそらく宿主防御の最も古い形を示したものであろう。[32]
好中球とマクロファージは侵入病原体を捜して体内全体を移動している貪食細胞である。[33] 好中球は通常血流中に存在し、貪食細胞中最も豊富である。通常全循環白血球の50%~60%を占める。[34] 特に細菌感染の結果生じる炎症急性期には好中球は走化性というプロセスによって炎症部位に移動する。通常感染が生じた場面で最初に到着する細胞である。マクロファージは多才な細胞で、組織中に存在し、酵素、補体タンパク質、それにインターロイキン-1のような制御因子など広範囲にわたる化学物質を産生する。[35] マクロファージは死体・ゴミあさりの(スカベンジャー)細胞としても働き、体内の役に立たなくなった細胞、およびその他の崩壊沈着物の除去および適応免疫系を活性化する抗原提示細胞として働く。[3]
樹状細胞(DC; dendritic cell)は外界に接する組織中の貪食細胞である。したがってこの細胞は主に皮膚、鼻、肺、胃、および腸に存在する。[36] この細胞の名称は神経細胞の樹状突起(dendrite)に似ていることから付けられた。両方とも樹状突起を多数もっているが、樹状細胞は神経系につながるすべは全くもたないのだが。樹状細胞はT細胞に抗原を提示するので、体内の組織と自然免疫系および適応免疫系への橋渡しをする役割がある。T細胞は適応免疫系の鍵となる細胞タイプの一つである。[36]
マスト細胞(肥満細胞)は結合組織および粘性膜に存在し、炎症応答を制御する。[37] この細胞は最も多くはアレルギーとアナフィラキシーに関与する。[34] 好塩基球と好酸球は好中球の関連細胞で、寄生虫に対する防御の際に化学メディエータを分泌し、喘息のようなアレルギー反応に係わる。[38] ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は腫瘍細胞あるいはウイルス感染症腺細胞を攻撃して破壊する。[39]
適応免疫
適応免疫系は初期の脊椎動物に進化し、より強力な免疫反応を起こし、個々の病原体が特定の型であることを示す抗原によって記憶される免疫記憶を保持する。[40] 適応免疫応答は抗原特異的であり、抗原提示と呼ばれるプロセスの間に特異的な非自己の抗原であるという認識が行われる必要がある。抗原特異性の認識によって、特定の病原体あるいは特定の病原体感染細胞に対して調整された応答の発動を可能とする。このような調整された応答を開始する能力は体内の記憶細胞によって保持される。もし病原体が1回以上生体に感染するなら、このような特定の記憶細胞が使われて即座に病原体は排除される。
リンパ球
適応免疫系の細胞は特定の型の白血球であり、リンパ球と呼ばれる。リンパ球の主要なタイプの細胞はB細胞とT細胞であり、骨髄中の造血幹細胞に由来する。[26] B細胞は体液性免疫応答に関与し、T細胞は細胞性免疫応答に関与する。
T細胞とMHCクラスIあるいはMHCクラスIIと抗原(赤色)との会合を示す
B細胞もT細胞も特異的なターゲット抗原を認識する受容体分子をもっている。T細胞は抗原(病原体の小さな断片)が加工されて自己の受容体である主要組織適合遺伝子複合体(MHC、Major Histocompatibility Complex)分子と組み合わさって提示されて初めて病原体のような非自己のターゲットを認識する。T細胞のサブタイプには主要な2つのタイプがある。キラーT細胞とヘルパーT細胞である。キラーT細胞はクラスIMHC分子と結合した抗原のみを認識し、ヘルパーT細胞はクラスIIMHC分子と結合した抗原のみを認識する。抗原提示におけるこの2つの機構はT細胞2タイプの機能の違いに原因がある。3番目のマイナーなサブタイプのT細胞としてγδT細胞があり、MHC受容体に結合しない、非加工の抗原を認識する。[41]
対照的にB細胞の抗原特異的受容体はB細胞表面上の抗体分子であり、抗原加工を全く必要とせず、病原体全体を認識する。B細胞の増殖系はそれぞれ異なった抗体を発現し、B細胞の抗原受容体の完全な1セットは生体が生成可能な全ての抗体を表すものである。[26]
キラーT細胞が外来性ないし異常な抗原を表面にもった細胞に直接攻撃を加えている。[42]
キラーT細胞
キラーT細胞はT細胞のサブグループであって、ウイルス(および他の病原体)に感染した細胞を殺滅する。これがなされない場合損傷を与え機能不全をもたらす。[43] B細胞で行われているように各T細胞タイプは異なる抗原を認識する。キラーT細胞はT細胞受容体がこの特定の抗原が他の細胞のMHCクラスI受容体と複合体を作っているときに抗原と結合する。このMHC-抗原複合体はT細胞上のCD8と呼ばれるコレセプターの助けを得て認識される。したがってこのT細胞はこのような抗原を保持したMHCI受容体を発現させている細胞を捜して、体内をくまなく移動する。活性化したT細胞がこのような細胞と接触するとT細胞はパーフォリンのようなサイトカインを放出する。パーフォリンはターゲット細胞の細胞膜に穴を開け、イオンや水分さらに毒性物質を侵入させる。グラニュライシン(タンパク質分解酵素)と呼ばれるほかの毒性物質の侵入はターゲット細胞にアポトーシスを誘導する。[44] T細胞による宿主細胞の殺滅は、ウイルスの増殖を妨害する上で特に重要である。T細胞の活性化は強く制御されており、一般にきわめて強力なMHC/抗原の活性シグナルを必要とする。あるいは付加的な活性シグナルはヘルパーT細胞から供される(下記参照)。[44]
ヘルパーT細胞
Tヘルパー細胞の機能:抗原提示細胞(APC)はクラスIIMHC分子(MHC2)上に抗原を提示する。ヘルパーT細胞はこれを認識し、これはCD4コレセプター(CD4+)の助けを得る。静止期ヘルパーT細胞の活性化によってサイトカインや他の刺激シグナル(緑の矢印)が放出され、膜、キラーT細胞、およびB細胞の活性を刺激する。B細胞への刺激は抗体産生につながる。B細胞とマクロファージへの刺激はTヘルパー細胞の増殖後に行われる。
ヘルパーT細胞は自然免疫系も適応免疫系も制御する。そして生体が特定の病原体に対して応答するのにどちらのタイプを用いるかを決定するのを助ける。[45][46] このT細胞は細胞毒性活性は全くもたず、感染細胞を殺滅したり、病原体を直接排除しない。代わりに他の細胞がそのような仕事をするよう方向付けて免疫系を制御する。
ヘルパーT細胞もT細胞受容体(TCR)を発現し、クラスIIMHCと結合した抗原を認識する。MHC:抗原複合体はヘルパーT細胞のCD4コレセプターによっても認識され、T細胞活性化に作用するT細胞内の分子(例えばLck)を動員する。ヘルパーT細胞のMHC:抗原複合体との会合はキラーT細胞より弱い。このことはヘルパーT細胞の活性化にT細胞上の多くの受容体(200~300個)が結合しなければならないことを意味している。一方キラーT細胞の場合は1個のMHC:抗原分子が関与すると活性化できる。ヘルパーT細胞の活性化には抗原提示細胞とのいっそう長い相互作用をも必要とする。[47] 静止期ヘルパーT細胞が活性化されると他の多くの細胞タイプの活性が影響を受けるサイトカインが放出される。ヘルパーT細胞によってもたらされるサイトカインシグナルはマクロファージの微生物殺滅作用を増強し、キラーT細胞の活性も増強する。[5] 加えてヘルパーT細胞の活性化はT細胞表面の分子CD40(CD154とも呼ばれる)などの発現を増強制御する。この分子は抗体産生B細胞を活性化するのに必要な代表的な付加的刺激シグナルとして働く。[48]
γδT細胞
γδT細胞はCD4+およびCD8+(αβ)T細胞とは対照的に別のT細胞受容体(TCR)をもち、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、およびNK細胞と同じ性質を共有する。γδT細胞から応答を得る条件は完全には解明されていない。他のなじみのない変異型TCRをもったT細胞サブセット、例えばCD1d-限定ナチュラルキラーT細胞などと同様に、自然免疫と適応免疫の間を広くまたいでいる。[49] 一方でγδT細胞は、この細胞はTCR遺伝子を再編成して受容体の多様性を生じること、そして記憶表現型も発達させることができることから、適応免疫の要素である。他方様々なサブセットは、制限されたTCRあるいはNK受容体が受容体のパターン認識に用いられることがあるため、自然免疫系の一部分をなす。例えばきわめて多数のヒトVγ9/Vδ2 T細胞は微生物によって産生される共通の分子に対して数時間以内に応答する。さらに高度に制限されたVδ1+ T細胞は上皮細胞が受けるストレスに応答するようだ。[50]
2本の重鎖と2本の軽鎖から形成された抗体分子。ユニークな可変部は抗体による対応する抗原の認識を可能にする。[42]
Bリンパ球と抗体
1個のB細胞は表面上の抗体が特定の外来抗原に結合すると病原体を認識することになる。[51] この抗原/抗体複合体はB細胞によって取り込まれタンパク質分解プロセスによってペプチドにされる。B細胞は次にこれら抗原ペプチドをMHCII分子上に提示する。MHCと抗原の複合体は対応するヘルパーT細胞を誘導し、B細胞を活性化するリンフォカインを放出する。[52] B細胞が活性化されて増殖のための分裂を始めるとその子孫(形質細胞)はこの抗原を認識する抗体コピーを何百万分子も分泌する。これらの抗体は血漿およびリンパ球に入って循環しこの抗原を発現している病原体に結合し、補体系の活性化あるいは貪食細胞による取り込みと破壊が起きるようマークを付ける。抗体は侵入病原体に対し、細菌の毒素に結合したりウイルスや細菌が細胞に感染する際に利用する受容体に妨害作用を及ぼして、直接中和することもできる。[53]
代替的適応免疫系
適応免疫の古典的な分子(例えば抗体やT細胞受容体)は顎をもった脊椎動物のみに存在するにも拘わらず、ヤツメウナギやメクラウナギのような原始的な無顎脊椎動物には独特なリンパ球由来の分子が発見されている。これらの動物には変異性リンパ球受容体(VLRs)と呼ばれる大きな一群の分子が備わり、顎をもった脊椎動物の抗原受容体のようにごくわずかな数(1つか2つ)の遺伝子のみから産生される。これらの分子は抗体と同じやり方で病原体の抗原に抗体と同じ程度の特異性をもって結合すると信じられている。[54]
免疫記憶
詳細は免疫 (医学)を参照
B細胞とT細胞が活性化されて複製を始めるとそれらの子孫細胞の中には長期間体内に残存する記憶細胞になるものがあるだろう。動物の生涯にわたってこれらの記憶細胞は各々の特異的な病原体に出合った記憶を保持し、病原体が再び感知されると強力な応答を発動できる。これは、個体の生涯にわたって病原体による感染に適応して起こり、免疫系が将来の接触に対して準備するものであるから、「適応」であると言える。免疫記憶は短期間の受動的な記憶の形か長期間にわたる能動的な記憶の形かのいずれかで成立しうる。
受動的な記憶
新生児はあらかじめ微生物に接触することはなく特に感染を受けやすい。そこで母親からいくつかの階層からなる受動防御が提供される。妊娠中抗体の特別の型IgGが胎盤を経由して直接母親から胎児に輸送される。したがってヒト新生児は誕生時すでに高レベルの母親と同じ抗原特異性の幅を持った抗体をもっている。[55] 母乳も抗体をもっており赤ん坊の胃に移動し、新生児が自分自身の抗体を合成できるまで、細菌感染を防御する。[56] これは受動免疫であって、胎児は実際記憶細胞あるいは抗体を作らずそれらを母親から借用するだけであるから、この受動免疫は普通短期間のもので、数日から数カ月しか続かない。医学では、防御的な受動免疫が、ある個人から他人へ抗体リッチな血清を人工的に移すことでも行いうる。[57]
免疫応答が病原体の感染(あるいはワクチン初回投与)から始まり能動的な免疫記憶を形成して維持される時間的経過。
能動的な記憶と免疫処置
長期的な能動的な記憶は感染後BおよびT細胞の活性化によって獲得される。能動免疫は人工的にもワクチン接種によって成立させ得る。ワクチン接種(あるいは免疫処置と呼ばれる)の原理は病原体の抗原を導入し免疫系を刺激してその特定の病原体に対する特異的免疫を発達させその病原体由来の病気を起こさないようにすることである。[5] この意図的な免疫応答の誘導は免疫系が自然に作り出している特異性を利用していること、そうして免疫を誘導できるということによって成功している。ヒト集団の主要な死因の一つに感染症があることからワクチン処置は人類が発展させた免疫系の操作の中で最も効果のあるものである。[58][26]
大部分のウイルスワクチンは生きた弱毒化したウイルスをもとにしているが多くの細菌ワクチンは有害作用のない毒物質の成分など細菌の構成要素の非細胞成分をもとにしている。[5] 多くの非細胞成分由来の抗原によるワクチンはあまり適応免疫応答を起こさないため、大部分の細菌ワクチンは、自然免疫の抗原提示細胞を活性化し免疫原性を最大にするアジュバンドを添加して提供される。[59]
ヒトの免疫異常
免疫系は、特異性、誘導性、および適応性を取り込んできわめて効果的な構造をもつに至っている。しかし宿主防御に失敗することがあり、これは3つの大まかなカテゴリーに分けられる。免疫不全、自己免疫、過敏症、である。
免疫不全
詳細は 免疫不全 を参照
免疫不全は免疫系の1つないしそれ以上の要素が機能しない場合に起きる。免疫系が病原体に対して応答する能力は、若くても年を取っても減退する。免疫応答は50才位から免疫老化のために衰え始める。[60][61] 先進国では肥満、アルコール依存症、薬物使用は免疫機能を弱める共通の原因である。[61] しかし開発途上国では栄養不良が免疫不全の最も多く見られる原因である。[61] 十分なタンパク質を取らないダイエットは細胞性免疫や補体活性、貪食細胞機能、IgA抗体濃度、サイトカイン産生を損なう。栄養素であるイオン、銅、亜鉛、セレン、ビタミンA、C、E、B6、葉酸(ビタミンB9)が1つでも欠乏したら免疫応答は減退する。[61] 加えて若いときに胸腺を遺伝的突然変異の原因か手術による摘出で失うと、重症の免疫不全を起こし、感染性が非常に高くなる。[62]
免疫不全は遺伝でも後天的でも生じうる。[5] 慢性肉芽腫症では、貪食細胞の病原体破壊力が弱いということがあるが、遺伝性または先天性の免疫不全の例であるAIDSやいくつかのがんの型は、後天的な免疫不全を起こす。[63][64]
自己免疫
詳細は 自己免疫 を参照
免疫応答の亢進は特に自己免疫病のような免疫不全の一方の極端をなす。ここでは免疫系は、自己と非自己を的確に区別できないで、自己の身体部分を攻撃する。普通の状態では多くのT細胞を抗体は自己のペプチドと反応する。[65] 特別な細胞(胸腺および骨髄に潜む)の機能の1つに若いリンパ球に体内で産生されている自己抗原を提示し、自己抗原と認識した細胞を排除して自己免疫を防いでいる。[51]
過敏症
過敏症は自己の組織に損傷を与える免疫応答である。これは機構と過敏反応が起きる時間経過に基づいて、4クラスに分けられる。I型過敏症は即時的な反応あるいはアナフィラキシー反応で、しばしばアレルギーに付随している。症状は穏やかな不快さから死に至るまで幅広い。I型過敏症はマスト細胞や好塩基球が分泌するIgEが原因である。[66] II型過敏症は抗体が自己の細胞の抗原に結合してそれを破壊するようマークを付けることから起こる。これは抗体依存性(あるいは細胞傷害性)過敏症と呼ばれ、IgGやIgM抗体が原因である。[66] 免疫複合体(抗原の凝集、補体タンパク質、およびIgGとIgM抗体)が様々な組織で沈着するとIII型過敏症の反応が引き起こされる。[66] IV型過敏症は(細胞媒介性あるいは遅延型過敏症としても知られるが)生じるまでに普通は2~3日かかる。IV型の反応は多くの自己免疫病や感染症で見られるが、接触皮膚炎(ツタウルシ)にも見られる場合がある。これらの反応に関与しているのはT細胞、単球およびマクロファージである。[66]
他の機構
無脊椎動物はリンパ球を生み出していないし、抗体に基づいた体液性反応も生み出していないので多要素からなる適応免疫系は最初の脊椎度物に生じたと思われる。[1] しかし多くの種は脊椎度物の免疫のこれらの諸面の前駆機能として発現させている機構を活用している。免疫系は生物の機能構造としては最も簡単なものでさえあると見受けられる。細菌はバクテリオファージと呼ばれるウイルス病原体から守るために制限修飾系と呼ばれるユニークな防御機構を用いている。[67] 原核生物も獲得免疫系をもっており、過去に接触したファージのゲノム断片を保持するのにCRISPR配列を用いてRNA干渉のような形でウイルスの複製を妨害することができる。[68][69]
パターン認識受容体は病原体に付随した分子を感知するのにほとんど総ての生物によって利用されている。ディフェンシンと呼ばれる抗微生物ペプチドは全ての動物および植物に見られる自然免疫応答の進化的に保存された要素の1つである。[1] 補体系や貪食細胞も大部分の無脊椎動物で利用されている。リボヌクレアーゼとRNA干渉の反応経路は全ての真核生物で保存されていてウイルスに対する免疫応答に役割を果たしていると考えられる。[70]
動物と違い植物では貪食細胞を欠く。植物の大部分の免疫応答には植物から放出される全身的な化学的シグナルがある。[71] 植物の一部が感染を受けるとその植物は局所的な過敏性の反応を起こす。そのことによって感染部位の細胞は速やかなアポトーシスを起こし他の植物への感染の広がりを阻止する。全身獲得抵抗性(SAR; Systemic Acquired Resistance)は防御反応の1つの型で、植物全体が特定の感染性病原体に抵抗するようにする。[71] RNAサイレンシング機構はウイルス複製をブロックできるのでこの全身的応答に特に重要である。[72]
腫瘍免疫
マクロファージ(白い小さな細胞)ががん細胞(突起をたくさんもった大きな塊)を認識したところ。マクロファージは腫瘍細胞を殺す毒物を注入するだろう。がん治療における免疫療法は活発な医学研究領域の1つである。 [73]
免疫系の他の重要な役割に腫瘍を見つけて排除することがある。腫瘍による形質転換細胞は正常細胞にない抗原を発現する。免疫系にとってこれらの抗原は非自己に見え、免疫細胞は形質転換した腫瘍細胞を攻撃する。腫瘍によって発現する抗原にはいくつかのソースがある。子宮頚がんを起こすヒトパピローマウイルスのような発がん性ウイルス由来のもの。[74] [75] 他は正常細胞では低レベルにしか見られないが腫瘍細胞で高レベルで見られるような自己タンパク質である。1例としてチロシナーゼと呼ばれる酵素があり、これは高レベルに発現するとある種の皮膚細胞(例えばメラノサイト)をメラノーマと呼ばれる腫瘍細胞に転換させる。[76][77] 腫瘍抗原の3番目の可能なソースは正常細胞では細胞増殖や生存の制御に重要なタンパク質が普通に突然変異を起こしてがん誘起分子に変わる。[74][78][79]
免疫系の腫瘍に対する主な反応は異常細胞をキラーT細胞やときにヘルパーT細胞の補助を受けて破壊することである。[77][80] 腫瘍抗原はウイルス抗原と同じようにMHCクラスI分子上に提示される。これによってキラーT細胞は腫瘍細胞を異常と見なす。[81] NK細胞も同じように腫瘍性の細胞を殺滅し特にMHCクラスI分子が正常に比べ少なく発現されている腫瘍細胞に対して作用する。このことは腫瘍細胞では一般的な現象として見られることである。[82] 往々にして腫瘍細胞に対して抗体が産生され補体系にもそれらの細胞を破壊することが図られる。[78]
明らかに腫瘍の中には免疫系をうまく逃れてがんに向かうものがある。[83] 腫瘍細胞はしばしば表面にMHCクラスI分子を発現する数が少ないので、キラーT細胞による検出を免れる。[81] また腫瘍細胞の中には免疫応答を阻害する産物を放出するものがあり、例えばサイトカインTGF-βを分泌するとマクロファージやリンパ球の活性が抑制される。[84] 加えて腫瘍細胞に対し免疫寛容が発達し免疫系が腫瘍細胞をもはや攻撃しないようにさせる場合もある。[83]
パラメータドックス的だが、腫瘍細胞がマクロファージをおびき寄せるサイトカインを放出し、マクロファージはその後腫瘍細胞が成長するようなサイトカインと増殖因子を産生するような場合、マクロファージは腫瘍の増殖を促進できる。[85] 加えて腫瘍細胞における低酸素状態とマクロファージ産生のサイトカインの組合せは腫瘍細胞が転移をブロックするタンパク質を産生するのを減らし、がん細胞の広がりを助けることになる。
生理学的制御
ホルモンは免疫調節物質として働き、免疫系の感受性を変えることができる場合がある。例えば女性の性ホルモンは適応免疫応答に対しても[86] 自然免疫応答に対しても[87] 免疫賦活活性をもっていることが知られている。全身性エリテマトーデスのような自己免疫病は女性を選択的に襲うが、発症の時期はしばしば思春期であるという時期の一致がある。対照的にテストステロンのような男性ホルモンには免疫抑制力があるようだ。[88] 他のホルモンにも免疫系を制御していると思われるものがあり、中でも有名なのがプロラクチン、成長ホルモン、ビタミンDである。[89][90] ホルモンレベルが年とともに減少を続けると、特に年老いた人々にとって免疫応答が減弱する原因となる。[91] 反対にホルモンの中には免疫系の制御を受けるものがあり、目立つものとして、甲状腺ホルモンがあり、免疫系の制御を受ける。[92]
免疫系は睡眠や休息によって増強され[93] ストレスによって損なわれる。[94]
ダイエットは免疫系に影響することがある。例えば新鮮な果物、野菜、ある種の脂肪酸の豊富な食物は健康な免疫系を維持促進する。[95] 同じように胎児の低栄養状態は免疫系に生涯続く損傷を与えうる。[96] 伝統的な医学ではハーブの中に免疫系を刺激するものがあると信じられている。このようなハーブには、例えばエキナシア、甘草、距骨(玉縁)、サルビア、ニンニク、アメリカ・ニワトコの実、シイタケ、リンザイキノコ、ヒソップ、があり、さらにハチミツがある。研究によると、作用の仕方は複雑で特徴付けは困難にしても、そのようなハーブは実際免疫系を刺激することが示唆されている。[97]
医学における操作
免疫抑制薬デキサメタゾン
免疫応答は、自己免疫、アレルギー、移植拒絶反応の結果起こる望まれない応答を抑制するよう、また、免疫系を大体逃れている病原体に対する防御反応を刺激するよう、操作しうる(ワクチン接種参照)。免疫抑制薬は自己免疫病や過剰な組織破壊が起こっている炎症の制御に、また器官移植後の移植拒絶を妨げるために使用される。[26][98]
抗炎症薬はしばしば炎症の影響を制御するのに用いられる。糖質コルチコイドはこれらの薬品の中で最も強力なものである。しかしこれらの薬品は多くの予想外の副作用をもちうる(例えば、中心性肥満、高血糖症、骨粗鬆症)。使用は厳重にコントロールしなければならない。[99] したがって、抗炎症薬は少量にしてメトトレキセートやアザチオプリンのような細胞傷害性あるいは免疫抑制薬との組合せで用いることがしばしば行われる。細胞傷害性の薬品は活性化T細胞のような分裂中の細胞を殺すような免疫応答を阻害する。しかし殺滅作用は区別できないから定常的に分裂している細胞とそれらの器官は影響を受け、これが毒性をもった副作用をもたらす。[98] シクロスポリンのような免疫抑制薬はシグナル伝達系を阻害することによってT細胞がシグナルに正しく反応するのを阻害する。[100]
大きな薬品(>500Da)は、特に繰り返し何度も投与されたり、投与量が大きいと、免疫応答を中和する場合がある。大きなペプチドおよびタンパク質(典型的には6,000Da以上)に基づいた薬品の効果には限界がある。薬品自身には免疫原性はなく、免疫原性のある物質と共投与される場合がある。このようなことはタキソールの場合時々見かける。ペプチドとタンパク質の免疫原性を予想するのにコンピュータによる方法が開発されて来ており特に治療用の抗体のデザイン、ウイルスのコート粒子に起こりそうな毒性突然変異を評価したり、ペプチドベースでの薬品処理の検証に有用である。初期のテクニックでは主にエピトープ域では親水性のアミノ酸が疎水性のアミノ酸より過剰に発現されているという観察に頼っていたが、[101] より最近の研究成果では、通常よく研究されたウイルスタンパク質に基づいてコンピュータはそれを学習材料として、知られたエピトープのデータベースに関しコンピュータが学習したテクニックに頼っている。[102] 公開されてアクセスできるデータベースが、B細胞によって認識されるということが知られているエピトープのカタログ化を行うために確立されている。[103] 免疫原性のバイオインフォーマッティクスに基づいた研究分野は新たに誕生したもので免疫インフォーマティックスと言及される。[104]
病原体の操作
病原体の成功は宿主の免疫応答から逃れる能力に依存している。したがって病原体は宿主にうまく感染できるような方法を免疫を媒介にした破壊を免れつつ、いくつか発達させてきた。[105] 細菌はしばしば物理的障壁についてはそれを分泌酵素で消化することによって切り抜ける。例えばII型分泌系の利用などである。[106] 別の方法としてはIII型分泌系の利用があり、宿主細胞に穴を開ける管を挿入する。直接この管を通じて病原体から宿主へタンパク質を移動させる。管を通って輸送されるタンパク質はしばしば宿主防御を停止するのに用いられる。[107]
いくつかの病原体が自然免疫系から免れるのに用いている回避戦略は、細胞内複製である(細胞内病原性とも呼ばれる)。この場合病原体は生活史の大部分を宿主細胞内で過ごす。そこでは、免疫細胞、抗体、それに補体に直接接触することはなくそれらから保護される。細胞内病原体の例としてはウイルス、食中毒細菌のサルモネラ菌、真核生物の寄生虫であるマラリアを起こすもの(Plasmodium falciparum)やリーシュマニア症を起こすもの(Leishmania spp.)などである。結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のような他の細菌は補体による溶解を阻止する保護カプセル中に生存する。[108] 多くの病原体が宿主の免疫応答を弱め方向を間違うような化学物を分泌する。[105] 細菌の中には免疫系の細胞やタンパク質から守るために生物的フィルムを形成するものがある。そのような生物的フィルムは多くの感染成功例に見られ、例えば嚢胞性線維症が特徴の慢性緑膿菌感染やバークホルデリア・セノセパシア感染がある。[109] ほかに抗体に結合する表面タンパク質を発現して抗体の効力を落とす細菌がある。この例には連鎖球菌(Gタンパク質)、黄色ブドウ球菌(Aタンパク質)、ペプトスプレプトコッカス・マグナス(Lタンパク質)がある。[110]
ウイルスが適応免疫系から免れる機構はもっと込み入っている。簡単な方法は、必須なエピトープは隠しもって全く必須でないウイルス表面上のエピトープを素早く変化させることである(アミノ酸か糖あるいは両方)。例えばHIVは、宿主のターゲット細胞に侵入するのに必須なウイルス外膜のタンパク質に絶えず突然変異を起こす。抗原のこれら頻繁な変化はこれらのタンパク質を対象とするワクチンを失敗させていることを説明するだろう。抗原を宿主分子でマスクする方法は宿主細胞から逃れるのによく見られる戦略である。[111] HIVではウイルスを覆う外膜は宿主細胞のもっとも外側の膜から作られている。このような"自己を覆い隠す"ウイルスは免疫系が"非自己"と認識するのを困難にしている。[112]
免疫学の歴史
ポール・エールリヒ Paul Ehrlich
免疫学は免疫系の構造と機能を研究する科学である。これは医学から生まれ初期の研究は病気に対する免疫の原因についてであった。免疫に最初に言及したのは、知られる限りでは、BC430年のアテネの悪疫流行の間である。ツキジデスは、以前病気にかかって回復した人々は患者を看護しても2度罹ることはないと記した。[113] このようにして観察された獲得免疫はのちにルイ・パスツールによって探求され、ワクチン接種の開発や病気の微生物原因論の提案に結びついた。[114] パスツールの理論は病気の当時流布していた瘴気論のような理論に真っ向から立ち向かうもので、この証明は1891年にロバート・コッホによってなされた微生物が感染症の原因であることの証明まで待たねばならなかったが、コッホは1905年にノーベル賞に輝いた。[115] 1901年のウォールター・リードによる、黄熱病ウイルス発見の際、ウイルスがヒト病原体として確認された。[116]
免疫学は19世紀終わりに向かって長足の進歩を遂げたが、急速な発展の中に体液性免疫および細胞性免疫の研究[117] で特に重要なのはポール・エールリヒの仕事であり、彼は抗原-抗体反応の特異性の説明に側鎖説を唱えた。体液性免疫の理解に対する貢献は、細胞性免疫研究の立役者であるエリー・メトチニコフと共同で1908年ノーベル賞受賞で認められた。[118]
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