新社長の判断の結果は? どうなの?
今年の決算は? 厳しいと予想されるが・・・ 同業他社との競争は? 韓国との競争は?
シャープ株式会社 | |
1912(大正元)年 創業者・故早川徳次氏(当時18歳)が徳尾錠(バンドのバックル)の発明で特許を取り、東京本所松井町で金属加工業を創業(9月15日)。当初の資本金は 50円足らず、 従業員は3名であった。 1915(大正 4)年 当時未開発であった金属文具の製作技術の研究改良を進め、金属繰り出し鉛筆を発明。 エバー・レディー・シャープペンシルと名づけて一世を風靡、これが現在の社名および商標である“シャープ”の由来となった。 | |
1935(昭和10)年5月 資本金30万円をもって株式会社組織に改め、 株式会社早川金属工業研究所を設立。 | |
代表取締役会長 町田 勝彦 代表取締役社長 | |
204,675百万円(100万円未満は切捨) (2009年3月末現在) | |
・ 2,755,948 百万円 (連結) ・ 2,147,682 百万円 (単独) (2010年3月期) | |
・ 単体社員数:22,700名 ・ 連結対象会社社員数:54,800名(単体社員数を含む) ・ グループ総人員:62,600名(国内32,300名、海外30,300名) (2010年4月1日現在) |
成果発表
黒字化達成している。ご立派、町田社長の人事と、それに答えた新社長!
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http://blog.livedoor.jp/a6news/archives/571255.html
シャープの片山幹雄社長は、8日、都内で記者会見し、主力の液晶テレビの販売が落ち込んでいることから、
ことし3月期の決算見通しで、最終赤字が1000億円からさらに1300億円にまで膨らむ見通しを明らかにしました。
そのうえで、これまで技術流出を防ぐために国内に限定してきたテレビ用液晶パネルの生産を、海外に移すことを柱とした生産体制の見直しを発表しました。
具体的には、三重県の亀山工場などの生産設備を今後需要の伸びが期待できる中国に移したり、
複数の海外メーカーと提携したりすることを検討しており、海外の生産を増やして人件費や投資額を抑え
収益力を高める方針です。
これについて片山社長は「技術的に最先端のものでも、日本で生産し輸出することは困難な状況で、
これまでのビジネスのあり方を抜本的に変える必要がある」と述べました。
大河原克行のデジタル家電 -最前線-
「若き」片山新社長体制でどう変わるか
~ “ミスター亀山”が挑む新生シャープ ~
「若き」片山新社長体制でどう変わるか
~ “ミスター亀山”が挑む新生シャープ ~
シャープの新社長として、片山幹雄専務が4月1日付けで就任することが発表された。
日刊各紙の報道では、49歳という年齢に注目が集まっていたが、それもそのはず、電機大手の社長としては、この年齢は異例でもある。
■ “異例”づくしの片山新社長就任
握手する町田勝彦社長(左)と片山幹雄新社長(右) |
実際、シャープでは、19歳で創業した早川徳次氏は別にしても、1970年に社長に就任した佐伯旭氏の53歳、'86年にやはり同じく53歳で社長に就任した辻晴雄氏、そして、'98年に社長に就任した現職の町田勝彦氏が54歳であったことと比較しても若いのがわかる。
関係者の間では、片山氏の次期社長就任が最有力とはされていたものの、シャープの歴代社長が53歳という年齢での就任が相次いでいたこと、さらに、10年以上の長期政権となっていたことを捉えると、現在9年目の町田社長から、現在49歳の片山専務のバトンタッチは、数年後であろうというのが順当な見方。このタイミングでの社長交代は、いわばノーマークでもあった。
付け加えるのならば、54歳で社長に就任した町田氏の場合、6月22日が誕生日であり、株主総会とはわずか1週間程度の差。社長指名時には53歳であり、もし、誕生日があと1週間以上後ろにずれていたら、「慣例」通り、53歳での社長就任という計算になっていた。その点でも、今回の社長交代は、シャープの「53歳社長就任」という慣例を覆すものだったといっていい。
だが、片山新社長は、この点をサラっと切り返して見せた。
「49歳といっても、年末には50歳になる。むしろ、自分自身では、最近歳をとったと感じているほど。また、海外の経営者を見ると、決して若くはない。年齢に関係なく、努力を重ねていくことが必要であり、真摯に会社経営に取り組んでいきたい」と語る。
町田社長も、「私が社長に就任した時と、40歳になった片山が事業部長に就任した時とが重なる。年上の部下をうまくまとめて、組織を引っ張っていたことが印象的だ。統率力を発揮している点を高く評価した。私は、リーダーの条件として、予見力、構想力、実行力が大切だと考えているが、これらを兼ね備えており、絶対的な安心感を持っている。液晶パネル事業に加えて、新たに液晶テレビ事業を担当してもらいわずか1年だが、短い期間に世界中を飛び回り、着実に成果をあげてきた。勘どころがあって、仕事が早い。経営全般についても、短期間に習熟するはずだ。私より、13歳も若いが、知力、体力ともに充実した年齢だと判断した」とする。
若さはマイナス点にはならない。むしろ、プラス要素というのが町田社長の言い分だ。そして、関係者の予想を裏切り、この時期に社長交代を決定した背景には、町田社長ならではの想いもあったようだ。
■ 「新工場は新社長で」。就任も異例の4月1日に
そして、関係者の予想を裏切り、この時期に社長交代を決定した背景には、町田社長ならではの想いもあったようだ。
「亀山第1、第2工場も軌道に乗り、区切りがついた。今年夏に公表する予定の新工場の計画も中途半端ではなく、初めから新社長でスタートを切った方がいい。私が最初だけやって引き継ぐのでは中途半端になる。メーカーの社長は、10年ぐらいの在任期間が必要。そうしなければ、腰を落ち着けて、オンリーワンの独創的な製品を投入する企業は作れない。様々なけじめをつけるという意味で、このタイミングを選んだ」とする。
第8世代マザーガラス(左)。次の工場建設時には、より大型の第10世代パネル生産設備の導入が予想される |
先頃、一部日刊紙で液晶パネルの新工場が姫路に建設されることが報道された。これに関して、シャープでは、「新工場の建設を検討しているのは事実だが、具体的な内容については、何も決まっておらず、報道内容は事実ではない」とする。だが、検討中としている新工場建設では、亀山第2工場で導入している第8世代よりも、さらに大きいマザーガラスでの生産が可能な第10世代の液晶パネル生産設備を導入する公算が強いと見られる。
当然、現在の亀山第2工場の設備投資額を大きく上回ることになるのは明らかだ。次代のシャープを担うことになる、この投資計画のすべてを片山社長体制で推進しようという狙いから、町田社長は、自らの社長在任期間を史上最短となる9年とし、片山氏に委ねたともいえる。
「業容が拡大し、2006年度には3兆円の売上規模となってきた。また、技術革新が早く、経営環境の変化が激しく、1人で目配りして、抜けがあってはいけないということもある。そして、対外的な活動も増え、東京での仕事が増えてきた。会長・社長制を敷くことでこれを解決する狙いもある。アドバイスはするが、業務はすべて(片山)社長が担当することになる」と町田社長は語る。
会長職が持ち回りとなっている社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)では、次期会長がシャープの順番でもある。これまで会長不在のシャープにとっては、町田社長が現業との兼務でJEITA会長就任という事態にもなりかねなかった。それを回避する意味でも、会長が対外的な活動を担い、社長が社業に専念するという役割分担が行なわれることになりそうだ。
慣例を崩したといえば、“4月1日”という就任時期も異例だ。多くの企業と同じように、これまでは6月の株主総会終了後のタイミングが社長就任の慣例だったからだ。だが、この点については、町田社長は、自らの経験を踏まえて次のように語る。
「企業の区切りは決算期。総会の後の6月下旬というのは、どうもタイミング的に中途半端にならざるを得ない。私自身も、そう感じていた。また、2006年度の決算もほぼ詰まってきて、公表している連結売上高3兆円、営業利益2,800億円の目処も立ってきた。上期の計画についても、増収増益でいけそうな目処がついた。区切りという点では、新年度がスタートする4月が最もいいと判断した」という。
■ 課題となる海外液晶テレビ事業の拡大
片山新社長に課せられた役割は、やはり液晶事業の拡大である。町田社長は「やり残したこと」として、海外におけるテレビ事業の拡大をあげた。
「就任当時の連結売上高は1兆8,000億円であったものが、2006年度には3兆円となり、順調に推移してきた。また、利益率も改善できた。だが、海外のブランドイメージは決して高くはない。これを日本のように高めていけるかが課題だ。だが、日本でも「AQUOS」が登場した2001年1月から、わずか5年でここまで引き上げることに成功した。海外でも日本と同じサクセスストーリーを描くことができるかどうかだ」と語る。
海外製造拠点の強化により、海外事業を拡充していく方針 |
片山新社長も異口同音に「海外での液晶テレビ事業は、最大の課題だ」と語り、「“フルスペックハイビジョン”によって、高機能分野をリードし、生産、販売体制を全世界規模で整えていくことが急務である」と語る。
液晶分野の経験が長い片山新社長にとって、この分野は、いわば、最も得意とするところである。実は、海外では、「Mr.KATAYAMA」を読み間違えて、「Mr.KAMEYAMA」と言われることがあるという逸話もある。まだシャープには、「ミスター亀山」の称号を持つ人物はいないが、片山氏が、その最有力候補の一人であることには間違いない。
'98年に、ノートパソコンおよびモニター用の液晶を担当するTFT第二事業部の事業部長就任当時、シャープの液晶事業は赤字事業だったという。しかも、現在よりも価格下落の勢いが激しく、年率40%程度で価格が下がっていたという。こうした厳しい状況にありながら、片山氏は、液晶事業を建て直し、その後の成長事業の柱へとつなげることに成功した。
また、亀山/第2工場の建設や稼働にも深く関わり、広報が用意した経歴のなかにも「液晶一筋」と記されている。液晶一筋の片山氏にとって、社長としての最優先課題である海外における液晶テレビ事業の強化は、これまでの延長線上での取り組みといえる。
海外でもラインアップを拡充し、ブランド力強化を図る |
「米国では、D62シリーズの1ラインしかなかったものが、D82/92シリーズを投入したことで、3ラインを用意することができた。ソニー、サムスンは3ラインを用意しており、メーカー別に店舗の中央に展示されていたが、1シリーズしか持たなかったシャープの展示はどうしても後回しになっていた。いよいよこれが解決できる。さらに、亀山第2工場の生産力、シャープの液晶が実現するコントラスト比、動画表示技術が、大きな差異化策になる。いよいよ今年の年末に向けて戦える準備が整ってきた」と、片山氏は海外市場でも臨戦体制が整い始めたことを指摘する。
今年7月には、亀山第2工場の第3期生産ラインを新たに導入。マザーガラスの投入能力を現在の2倍となる月産6万枚とするほか、2008年中には月産9万枚にまで引き上げる計画。また、ポーランドでは、月産10万台の液晶モジュールの生産体制を年末には月産30万台体制に拡充。7月には、液晶モジュールから液晶テレビまでの一貫生産を開始する。さらに、メキシコ工場では、7月を目処に液晶モジュールから液晶テレビまでの一貫生産を行なう第2工場を新設。月産20万台の体制を構築する。
「グローバルで見れば、シャープの液晶テレビ事業は追う立場。守るべきものはなにもない。むしろ、好きなように手が打てる」と片山氏は意欲を見せる。シャープにとっては、今年が海外テレビ事業の元年である。
■ 利益を追える液晶テレビ事業へ
では、液晶テレビ事業において、片山氏は、今後、どんな舵取りを行なおうとしているのか。
2月中旬に片山氏に取材をする機会を得た。社長就任の打診を受けたのが、2月22日だというから、取材時点では、社長就任の話はまだ出ていなかったタイミングだ。
取材では、ちょうど発表されたばかりの米ディスプレイサーチの調査結果に話題が及んだ。実は、この数字に、シャープの今後の液晶テレビ戦略の方向性が隠れているともいえる。
3月発売のAQUOSフラッグシップモデル「Rシリーズ」では42~65型を用意 |
ディスプレイサーチの調べによると、2006年の全世界における液晶テレビのシェアは、金額ベースでは、ソニーが16%のシェアを獲得し、初の首位。続いて、サムスン、シャープとなった。また、台数ベースでは、サムスンの13.4%が首位、次いで、フィリップスの13.0%、ソニーの11.6%、シャープの11.3%となった。
この数字だけを見ると、シャープが順位を落とし、同社液晶テレビ事業の停滞感すら感じられる。課題の海外戦略が軌道に乗っていないことを示すとものともいえる。片山氏は、順位の後退については、「確かにその通りだ」と認める。しかし、その一方で、「これは折り込み済み。シェアを高めることと、収益を高めることは、決してイコールではない」とも語る。
第3四半期連結決算で、シャープの液晶テレビは、価格下落が急速に進行するなかで平均単価を9%引き上げて見せた。これは、同社製品の大画面化が進展したことの表れでもある。そして、2007年度には、40%以上を40インチ以上の大画面テレビで占める考えだ。
第8世代で先行したシャープが、サムスン、LG電子、ソニーといった収益に苦しむ競合他社に比べ、テレビ事業で好調な業績を達成しているのは、数よりも、大画面化による収益を重視したことの表れといえる。
シャープは、一時期的に、市場の伸びに生産能力が追いつかなくなることを知りながら、亀山第1工場で導入した第6世代や、サムスンのような第7世代の生産設備を、亀山第2工場には導入しなかった。
実は、第8世代は、32インチの生産にも適したサイズであり、32インチの市場が拡大した場合にも対応できるように、逃げ道は用意していた。だが市場は、シャープが最良のシナリオとして想定した大画面化へと移行した。こうなると第6世代などの生産設備はコストにしかならない。
2007年度販売目標台数は900万台。そのうち40型以上で40%を目指す |
「シャープはどこで戦うのか。それはフルスペックハイビションであり、その威力を発揮できる大画面、高性能分野。この領域でこそ健全な経営ができる。いまや、価格競争の激しい32インチ以下のパネル生産に適した第6世代の生産設備を持っていることの方がマイナス要素になりつつある」と、片山氏は語る。
シャープでは、第8世代への投資を加速する一方で、海外向けの液晶テレビで採用する20インチ台のパネル調達は、台湾メーカーからの調達に切り替えた。これも、台数シェアを追うことをやめ、収益性を重視した経営体制構築に向けた取り組みといえる。
シャープでは、2007年度の液晶テレビの出荷計画を年間900万台とした。「無理をすれば1,000万台の出荷は可能。だが、それは20インチ台の出荷数量を増やすことになり、収益性が悪化するだけ」と、900万台の意味を説明する。
町田社長も「身の丈にあった経営が必要。身の丈に合わない経営をすると、利益を損なう」と語る。900万台は、いまのシャープの身の丈にあった数字といえるのだ。
片山新社長による液晶事業戦略は、シェアよりも収益優先というスタイルが継続されることになる。
■ 新工場の計画は夏にも発表
片山新社長体制の発足から数カ月後には、新工場建設の計画が発表されることになるだろう。
具体的な計画発表は、夏になるだろうが、片山氏は一般論として、「第10世代になれば、50インチ、60インチ台の液晶テレビの生産にメリットが出る」と語る。ひとつの選択肢として、第10世代での検討を進めていることは間違いないだろう。この決断が、数年後のシャープの液晶テレビ事業の行方、そして、シャープの経営を左右することになる。
町田社長は、2010年には、全世界のテレビ需要の10%のシェアを獲得するグローバル10を掲げていた。片山氏の戦略もこれを踏襲することになる。片山新社長の打つ手は、最初から大きな一手となりそうだ。
□シャープのホームページ
http://www.sharp.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/070228-b.html
□関連記事
【2月28日】シャープ新社長に片山幹雄専務が就任
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070228/sharp2.htm
【2月20日】シャープ、画質を追求した「プレミアムAQUOS」などを発表
-プラズマとの違いは「見ればわかる」
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070220/sharp1.htm
【2月16日】【ce】第3四半期決算に見る各社の薄型テレビ事業の現状
~ 今後の価格下落への見解が各社分かれる ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070216/ce12.htm
【1月12日】シャープ、亀山第2工場の第3期生産ラインを7月から導入
-大型化へのシフト進め、40型以上の出荷360万台目指す
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20070112/sharp.htm
(2007年3月8日)
= 大河原克行 = (おおかわら かつゆき) | '65年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を勤め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、15年以上に渡り、IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。 現在、ビジネス誌、パソコン誌、ウェブ媒体などで活躍中。PC Watchの「パソコン業界東奔西走」をはじめ、Enterprise Watch、ケータイWatch(以上、インプレス)、nikkeibp.jp(日経BP社)、PCfan(以上、毎日コミュニケーションズ)、月刊宝島、ウルトラONE(以上、宝島社)、月刊アスキー(アスキー)などで定期的に記事を執筆。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下電器 変革への挑戦」(宝島社)、「パソコンウォーズ最前線」(オーム社)など。 |
[Reported by 大河原克行]
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