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"Animals In Translation" - Temple Grandin より
私がいつも言っていること。動物との間に問題があるときはいつでも、動物が見ているものを見ようとしなさい。動物が体験していることを体験しようとしなさい。臭い、手順の変化、体験したことが無いことの体験などの動物が動転することは多くある。これらすべてを考えるべきだ。感覚の世界のいかなるものでも動物を動転させ得る。しかし、犬や猫や馬や牛が見て苦にしているものを自問することを忘れてはならない。
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人が見ているものと見ていないもの
その畜舎のコンサルテーションを行なったことで、私が特別に牛と魔術的なつながりを持っているという評判が立ち始めた。まもなく私はそういう状況にいつも困惑するようになった。私にとって答えがあまりにも明らかだからだ。なぜ、他の人たちにはそのようなことを見ることができないのか。
他の人たちが問題が何かを実際は見つけることができないのだ、と理解するのに十五年を要した。動物や自閉症の人たちのようにビジュアル指向でないので、見つけることができなかった。
健常者が自閉症の子供たちに「自分たちの小さな世界で生きなさい」と言っているのを聞くと、私は滑稽なことのように思える。しばらくの間、動物と一緒に働けば、自閉症の人は逆に健常者に同じことを言えると気づく。多くの健常者にはめったに立ち入れない大きな美しい世界が開けている。それは、犬が人には聞こえない領域の音を聞くようなものだ。自閉症の人と動物は、健常者にはできないビジュアルな世界の領域を見ている。
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だが、最も驚くべき事例は、NASAが民間の飛行パイロットを使って行なったものだ。治験者はパイロットをフライトシミュレータに着席させ、一連の着陸手順を行なうように指示した。しかし、着陸のアプローチの部分で、治験者が滑走路に大型の民間機を駐機する画像を追加した。この画像は、実際では決して見ないものだ(少なくとも、そう願いたい)。パイロットの四分の一がその飛行機の上に正しく着陸した。パイロットはその飛行機が見えなかった。
その事例の写真を見た。面白いことは、パイロットでなければ、駐機した飛行機は明らかに見える。それを見逃さないし、自閉症である必要もない。その飛行機を見逃すのは民間のパイロットだけだ。農場を賭けてもいい。プロならば、プロが普通見るべきものを見るように要求される。フライトシミュレータで滑走路をふさぐ民間の大型機を見逃す機会は二十五パーセントある。
それは、人の認知システムが以前よく見たものを見るように構築されているからだ。バスケットボールの試合の中で以前よくゴリラを見たならば、ゴリラは見える。バスケットボールの試合の中でゴリラを見たことがなければ、ゴリラは見えない。非注意性盲目を呈している。
私には、ビジュアル思考者がこれらの実験でどのように見るかは分からない。しかし、私の推量では、ビジュアル思考者のほうが言語思考者よりもゴリラを見る頻度はかなり高いと思う。私は、草食動物がゴリラを見逃さないことをほぼ肯定する。きっと、肉食動物もゴリラを見逃さないだろうが。ところで、肉食動物とは、食べるために他の動物を捕まえたり殺したりする犬や猫のような動物のことだ。草食動物とは肉食動物に捕らえられる動物だ。同じではない他の動物の分類もある。肉を食べるが動物を殺さないゴミあさり動物(ハゲワシなど)の分類もある。人を含むすべての動物は少なくとも分類のひとつに入る。ほんの少しだがひとつ以上に分類される動物もいる。その多くは霊長類だ。人は草食動物というより肉食動物だ。しかし、人は両方の性質を持っている。歯の点から見ると、人は無防備だ。しかし、道具を使うようになったとたんに、人は肉食動物になった。
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動物であろうと人間であろうと、ビジュアル思考者は細部が見える。すべてのものを見て、すべてのものに反応する。これが真実である理由は不明だが、実際の体験からそれを知っている。インテリアデザイナーが「私にはすべてが見える」と私に言った。インテリアデザイナーにとって最も悪いことは、よく分かっていない請負業者と仕事をすることだ。デザイナーは、請負業者がした仕事の小さな欠陥がすべて見える。しっくいが少し不ぞろいになっているような他のだれもが気づかないような小さなミスも、ビジュアルな人の目には飛び込んでくる。ビジュアルな人は、ビジュアルな環境に少しでも欠点があると、ひどいと感じる。動物も同じように感じる。
これは、普通の人が動物と関わった場合に、動物にとって最もつらい点であると、私は思う。なりたいと思っても、言語思考者はビジュアル思考者になれないし、逆にビジュアル思考者も言語思考者にはなれない。
この本が普通の人が言語思考を少し減らし、ビジュアル思考を少し増やす手助けになることを望む。私は、三十年間、動物学者として生きてきた。全人生を自閉症の人間として過ごしてきた。私が学んだことが、人が動物と(おそらく自閉症の人とも)再びやり直し、別の考え方を始める手助けになることを望む。
私が学んだことが、人がいわゆる見るための手助けとなることを望む。
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青柳洋介
追伸:ビジュアルだけでなく、サウンドについても同じようなことが言える。自閉症とか動物とかではなく、脳の中にある”くさび”を取り外せば、そのようなビジュアルな世界が見えて、そのようなサウンドの世界が聞こえるのではないかと、個人的には思っている。それを超えて、五感について、もしくは第六感までも含めて、そのような世界があるのではないかと感じている。
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