本企画書をNHK出版の猪狩さんに送った。
私は、内容を見ていないと、慌ててメールを返してきた。
疑うわけじゃないが、参考資料として、使った?
今となっては、どうでもいいが・・・
トラップなら、出版人の良心を疑う・・・
その後の業界の様子を見ると、疑いたくもなる・・・
天罰はだれに当たる? - ディバインシステム
本案件は?
仙名さん(フェロー・アカデミー) => 丸善 => みすず => NHK(猪狩)
昔の話だが・・・
いずれにしろ、出版業界には、大リストラの嵐が待ち受けている・・・
茂木健一郎は4億円の税務申告漏れで、馬脚を現した・・・
公立函館未来大学も、大きな問題がありそう・・・
学閥の弊害・・・
NHK出版、NTT出版・・・
青柳 様
ご連絡が遅くなりまして申し訳ございません。
現在確認できたのは先ほどのメールでお伝えした、編集部からの
「版権は取っているが、刊行時期については未定の状況です」という情報のみです。
具体的な進捗状況、刊行見込みが薄いのか否か、など詳細につきましては直接
下記、翻訳編集部宛てにお問い合わせいただきますようお願いいたします。
NHK出版 図書出版部 03-3780-3319 (翻訳編集班)
大変お手数ですがよろしくお願いいたします。
******************************************************
日本放送出版協会 直販部 南雲 chokuhanbu@nhk-book.co.jp Tel : 03-3780-3364/ Fax : 03-3780-3379
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青柳 様
お便りありがとうございました。
大変申し訳ないのですが、現在のところ、小社での刊行予定はございません。
******************************************************日本放送出版協会 直販部 南雲 chokuhanbu@nhk-book.co.jp Tel : 03-3780-3364/ Fax : 03-3780-3379
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Sent: Friday, December 23, 2005 1:52 PM
Subject: お問い合わせ/
Temple Grandin著 の『Animals in Translation』の翻訳本が貴社から出版されると聞いたのですが、
時期は、いつごろでしょうか?
青柳洋介
みすず書房
市原さま
以前、訳本企画の件でお世話になった翻訳者の青柳です。
“Animals In Translation”は、『動物感覚』というタイトルでNHK出版から無事刊行されました。
初めての企画だったので、気になっていました。
本企画の際にみすずのホームページで大井東京大学医学部名誉教授の本に出会いました。
不思議ですが、大井さんと縁ができて、市原さんに提出した訳本企画書、原著、翻訳本などについて
大井さんと、本日、一時間あまりお話しました。大井さんは、自閉症の森林療法などに関わっておられます。
訳本企画書を読まれて興味をお持ちになり、原著を購入するとのことです。
私は翻訳者としては採用されませんでしたが、やったことが少しでも役に立って満足です。
お世話になりました。
青柳
僕が企画して、手遅れだった本の著者です・・・
アスペルガー症候群、だが、大学教授でもある・・・
オーティスティック・サバン 自閉症の天才?
Autistic Savant
Animals In Translation
Animals in Translation: Using the Mysteries of Autism to Decode Animal Behavior (ハードカバー)
Temple Grandin (著),
Catherine Johnson (著) "People who aren't autistic always ask me about the moment I realized I could understand the way animals think ..."
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「訳本企画書」 2005/06/20
翻訳者 青柳 洋介
Animals in Translation
Temple Grandin and Catherine Johnson
アニマルズ・イン・トランスレーション
━━自閉症の神秘によって、動物の行動を解読する(仮題)
テンプル・グランディン キャサリン・ジョンソン
SCRIBNER刊(356P ISBN 0-7432-4769-8 Copyright 2005 Simon & Schuster Inc.)
テンプル・グランディン━動物学の博士号をイリノイ大学から取得している。コロラド州立大学の助教授になり、Thinking in Picturesなど、自閉症に関する本を二冊書いている。彼女自身が自閉症だ。
キャサリン・ジョンソン━神経精神医学と脳を専門とする作家だ。Shadow Syndromesなどの本を三冊書いている。三人の息子のうち二人は自閉症だ。
注1) 版権がどのようになっているかは、アマゾン・ジャパンで訳書が出ていないこと以外は未調査です。
注2) ニューヨーク・タイムズのノンフィクション・ハードカバーのジャンルで4月13日時点で、二十五位くらいにランクされています。(5月7日時点でランク外です)
売り込みのポイント
●人工知能の研究を行なったことがあるので、脳に関する知識もあるし、興味もあります。
● プログラミング言語の研究を行なったことがあるので、言語、言語処理に関する知識もあるし、興味もあります。
● コンピュータによるコミュニケーションの研究も行なったことがあるので、情報伝達・処理に関する知識もあるし、興味もあります。
● 私自身が統合失調症を経験しているので、著者の自閉症に対する経験・薬物による治療なども実感として理解できます。実際に学研刊の『我、自閉症に生まれて』、『自閉症の才能開発』をよく理解できます。
● 野生動物のテレビ番組やナショナルジオグラフィックの写真などには興味があります。
● 環境問題などもクローズアップされており、生物の一種である我々ホモ・サピエンスも含めたサバイバルのために、他の生物の調査も重要だと思います。本書は、動物の行動、感情、才能、飼育方法などを「自閉症サヴァン」の目でわかりやすく説明しています。自閉症サヴァンとは、自閉症であるがために、特異な能力を備えた人です。著者はビジュアル思考をする自閉症サヴァンです。
● 人間の脳の原始的な部分の働きは、動物を観察することにより類推できます。人間の行動は思ったよりも脳のこの部分に支配されています。本書は人間の行動を考える上で有用です。
● 丸善の桑原部長から、内容は面白いが丸善向きではない。持ち込むなら、みすず書房がいいと思うというコメントを貰いました。
● 翻訳家の仙名紀さんから、アドバイスを受けています。
本書の内容の概要
1章は試訳を行ないました。
2章以降は、面白いと思われる点を箇条書きしました。
【1章 私自身の物語】
自閉症でない人たちは、私が動物の思考法を理解できると気づいたときのことについて必ず尋ねる。直感を持っていたに違いないと彼らは考える。
しかし、そうではない。私が他の人たちとは違う方法で動物を見ている、と自覚するまでには長い時間がかかった。動物管理のために私を雇った牧場主よりも私のほうが大きな優位性を持っていると、四十歳代を過ぎてはじめて気づいた。それは私が自閉症であることだ。自閉症のために学校や社会生活でつらい思いをしたが、私のおかげで動物たちは楽になった。
子供のころは、動物と特別なつながりがあるとは思わなかった。動物が好きだったが、私には問題があって子犬と猫の違いがなかなか分からなかった。私の人生において、とてつもない危機だった。私が犬と思うものは、すべて大きなサイズをしていた。私はサイズで犬を見分けた。近所の人がダックスフントを買ったときは、とても混乱した。「それがなぜ犬なの」と言い続けた。見分けようとして、よくよく何度も見た。ダックスフントが私のゴールデン・リトリバーと同じ鼻を持っていることにやっと気づいた。犬は犬の鼻を持つと理解した。
私が五歳のころの力量はそれくらいのものだった。
母が私を感情障害がある子供たちのための全寮制養護高校に入れてから、私は動物と恋をし始めた。その当時は、周りの者たちは私のことを何かにつけ「感情障害」と言った。私が喧嘩するので放校されたため、母は私が次に行く場所を探さなければならなかった。子供たちがからかうので喧嘩した。彼らは、私のことを「あほ」とか「テープレコーダー」と呼んだ。
私がたくさんの文を記憶していたので、テープレコーダーと呼んだのだ。私は話すときにはいつでも、その文を何度も繰り返し使った。それに加えて、私がしたい話は二、三種類しかないために、からかいは増長した。私はカーニバルのローター{回転車}乗りの話がとくに好きだった。私は子供たちの上によじ登って、
「ナンタスケット公園に行った。ローター乗りに行った。壁に向かって押しつけられるのが本当に好きだった」とよく言った。その次に、
「あなたたち、これが好きだったでしょう」
というふうに言った。そしたら子供たちは
「とても好きだったよ」と答えた。
はじめから終わりまで、何度も何度もこの話を繰り返した。それで、子供たちは私をテープレコーダーと呼んだ。
からかいは心が痛む。子供たちがからかうので、私は頭にきて殴るのだ。単純なことだ。子供たちは必ずからかう。彼らは私の反応を見るのが好きだった。
新しい学校では、この問題はなかった。学校には厩{うまや}と子供たちが乗る馬がいた。私がだれかを殴れば、先生たちは馬に乗る権利を剥奪{はくだつ}した。子供たちが悪さをした場合に殴らずに泣けばいいと気づくまでには、権利を剥奪されてからかなりの時間が必要だった。暴力を振るう代わりに泣いた。人が意地悪をすると、私は今でも泣く。
からかっていた子供たちには何も起こらなかった。
学校の面白いところは、馬たちも感情障害を持っていたことだった。校長が金をけちって感情障害のある安い馬を買ったためだ。馬たちは行動上の大きな問題を持っていたので値段が安かった。可愛かったし立派な足をしていたが、感情的な混乱を持っていた。学校には全部で九頭の馬がいたが、二頭にはまったく乗ることができなかった。厩舎の中にいる半数の馬は、重大な心の問題を抱えていた。十四歳のころの私は、馬が抱えている問題を理解していなかった。
皆で寄宿していた。感情障害を持つ十代の生徒たちと感情障害を持つ馬たちが一緒に暮らしていた。レイディといういい馬がいた。馬場では乗ることができたが、道では暴れた。後ろ足を蹴上げ、たえず飛び回ったり跳ね回ったりした。勒{くつわ}で抑えていないと、厩へ向かって急に走り出した。
ビューティーという牡馬がいた。乗るには乗れたが、鞍上にいると蹴ったり噛んだりする悪い癖があった。足を振り上げて鞍上者の足を蹴り、頭を回して鞍上者の膝を噛んだ。用心しなければならなかった。ビューティーにまたがろうとすれば、いつも蹴ったり噛んだりした。足と頭を鞍上者に同時に向けた。
しかしゴルディーという雌馬は比べ物にならないほどやっかいだった。背中に乗ろうとすると、かならず後ろ足を蹴上げ座り込んだ。乗れない馬だった。鞍に座ることしかできなかった。乗るとゴルディーはかならず汗をかいた。五分もするとびしょ濡れになってしまう。怖がっているのだ。乗られるのを恐れていた。
だが、ゴルディーは美しい馬だった。胴体は明るい茶色で、たてがみとしっぽは金色だった。アラブ馬のように細身で美しかった。グランド・マナーは完璧だった。手綱を引いて歩かせたり調教したり、やりたいことは何でもできた。乗ろうとさえしなければ、思い通りに動かせた。これは神経質な馬がかならず抱えている問題のように思える。しかし、他の場合もある。「乗れるには乗れるけど、それしかできないよ」と言われる馬を知っている。このタイプの馬は、乗っている人には好都合でも、乗っていない人には都合が悪い。
学校の馬はひどい扱いを受けていた。ゴルディーを売った婦人は、できの悪い尖ったくつわ{、、、}を使って力任せに引っ張っていたので、ゴルディーの舌はねじれて変形していた。ビューティーは一日中、搾乳用の柱につながれていた。私にはわけがわからない。馬たちはひどい扱いを受けて痛めつけられていた。
しかし、このことを若いころには理解できなかった。私は学校でけっして馬に意地悪をしなかったが、他の子供たちはときどき意地悪をした。だが、彼らは馬と話せる自閉症サヴァンではなかった。私は、ただ馬が好きだった。馬に囲まれて暇さえあれば厩{うまや}で働いた。一生懸命に厩を清潔にし、馬の身づくろいをした。高校時代に、母がイギリス製のすばらしい馬ろくと鞍を買ってくれた日は、うれしかった。私の人生でもっとも大きな出来事だった。学校に置いてあるできが悪い鞍ではなく、自分用のできが良い鞍だった。伝統があるマクレランド製の鞍に乗った。南北戦争ではじめて使われた騎馬隊用の正真正銘の鞍だった。学校で使っていた鞍は、軍隊に騎馬隊があった第二次世界大戦のころに使われたものだった。マクレランド製の鞍は、馬の背中を分離するのに中心から下に溝が付いている。溝は馬には都合が良いが、乗り手には勝手が悪い。これよりも勝手が悪い鞍はないと思っている。だが、アフガニスタンの北部同盟の兵士が使っている木製の鞍は、もっとひどいと言わざるを得ない。
私はその鞍を大事に扱った。とても気にいっていたので、馬具部屋には収納しなかった。毎日、寮の部屋に持ち帰り自分のそばにおいていた。鞍を売っている店で、鞍用の石鹸と革用のコンディショナーを買った。数時間かけて鞍を洗って磨いた。
馬と共にいれば楽しかったが、高校時代はとてもつらかった。とどまることを知らない不安の波に襲われた。後になって卒業論文委員の前で論文を発表したときに感じた不安と同等のレベルの不安だった。昼も夜もずっと不安を感じていた。悪いことが起きていないのに、突如として不安になった。自閉症の遺伝子が活性化していると思った。自閉症はその大半が不安性錯乱のようなものだ。「精神障害のための診断と統計マニュアル」に載っている不安性錯乱だ。
動物が私を救ってくれた。アリゾナで観光牧場を経営するおばを訪れたある夏に、近場の牧場で牛の群れが「スクイーズ・シュート」に入れられるのを見た。スクイーズ・シュートとは、獣医が注射するときに、牛が動けないようにきつく固定する道具だ。下のほうが蝶番になっている大きなV字型をした金属の棒でできている。一頭の牛がシュートに入ると、エア・コンプレッサーがシュートを閉じてV字型にして牛の胴体を固定する。皮下注射の際には金属棒の間にスペースが十分にあり、牧場主は両手が使える。それがどんなものかを見たければ、ウェブサイトの写真で見ることができる。
私はシュートを見るとすぐに、おばに車を止めさせて観察した。スクイーズ・マシンの中にいる大きな牛の様子を見て釘付けになった。大きな金属の枠に胴体を突然に固定されると牛は怯える、と考えるのが普通だが、実際は逆だ。牛はまったく落ち着いている。十分な圧力は落ち着いた感覚をもたらすので、この現象は妥当だ。マッサージが心地よいのも同じ理由だ。つまり十分な圧力だ。新生児が生まれてすぐ感じるように、あるいはスキューバダイバーが水中で感じるように、スクイーズ・シュートはたぶん牛の気分を和らげる。牛はスクイーズ・シュートを好む。
牛が落ち着くのを見て、自分用のスクイーズ・シュートが必要だと知った。その年の秋に学校に戻ってから、先生に手伝ってもらい自分用のスクイーズ・シュートを作った。サイズを人間用に縮めた。エア・コンプレッサーを買い、V字型の棒には合板の木材を使用した。とてもうまくいった。スクイーズ・マシンの中に入ると落ち着いた。私は今でもマシンを使っている。
スクイーズ・マシンと馬のおかげで十代を過ごすことができた。馬と一緒にいた。勉強しなくても良いときや学校に行かなくても良いときには、馬と一緒にいた。ショーでレイディに乗ったことさえある。感情障害を持つ危険な馬がいる厩舎を持つ学校があり、年端のいかない生徒が馬に乗るのは、今では想像しがたい。最近は、生徒が怪我をしないようにと、体育の時間にドッジボールさえできない。しかし当時はできた。そんな学校に入れられたが、少なくとも私がいる間には、だれも大怪我はしなかった。うまくいっていた。
今でも、子供たちが馬乗りをできれば良いと思う。人と動物は共にあると思う。人は長い年月を動物と共に進化してきた。動物はいつもパートナーだった。今や、人は犬猫以外の動物と離れ離れになっている。馬は十代の子供たちにとって、とくに良いと思う。十代の患者をたくさん持つ精神科医の友人がマサチューセッツにいる。彼は馬に乗る患者にまったく別のことを予期している。同程度の問題を抱えている子供がふたりいるとする。ひとりは定期的に馬に乗り、もうひとりは乗らなかった場合に、乗る子供の具合が改善されると彼は言う。ひとつは、馬乗りには大きな責任が伴う。そのため、馬の面倒を見る十代の子供の性格が改善される。もうひとつは、馬に乗ることは鞍上者が手綱を引いて馬に命令することではない。ほんとうの馬乗りとは、舞踏会で踊るダンスのようなもの、あるいは、ペアのフィギュアスケートのようなものだろう。人と馬との関係性だ。
(省略)
【2章 動物は世界をいかに認知するか】
★ 著者は具体的なものを抽象化することと戦っている。
★ 抽象的思考者は、現実に基づかない抽象的な議論に縛られている。
★ 人は抽象的な思考をしているとラディカルになりやすい。
★ 動物や自閉症の人は物の観念ではなく物の実体を見る。
★ 高度にビジュアルな人は動物のように細部に反応する。
★ 多くの動物はパノラマビジョンだ(広範囲を見ることができる)。
★ 肉食動物は両眼視できないが,羊は両眼視できる。
★ 人は注意を払わない物は良く見えない。動物や自閉症の人は、見るのに注意を払わないので良く見える。
★ 自閉症の人は、普通の人よりも動物のほうに近い。
★ 動物にはEPS(超感覚的知覚)がある。
★ 普通の人は、感覚の生データでなく、スキーマ(概念)を見たり聞いたりしている。
【3章 動物の感情】
★ 自然状態で雄鶏が雌鶏を殺すならば、それは鶏でない。人間は、この生命についての基本的な事実を忘れがちだ。
★ 抗生物質による遺伝子の人為的淘汰は、耐性菌を生む。
★ 恐れを持つ動物ほど攻撃性が低い。恐れを多く持つ動物は戦いたいとは思わない。
★ 偶然による淘汰のほうが、動物にとって危険性が少ない。単一の物理的遺伝形質を目的にした飼育を行なう場合、動物の感情の変化を予測できない。
★ アルビノは、メラニン色素を持つ褐色の皮膚の動物より、神経性の問題を多く持つ。
★ 純血種の犬のほうが、混血種の犬よりも、感情や行動に問題があるという証拠が多くある。
★ 遺伝学的には、狼と犬はほとんど変わらない。
★ 動物と人間の感情の差は感情の混在だ。動物は同時に相反する感情を持てない。自閉症の人や子供も同じ。
★ SEEKING(欲求)に関連した主な神経伝達物質はドーパミンだ。ドーパミンは快楽物質である。
★ 性ホルモンにはバソプレシン(オス)、オキシトシン(メス)がある。これらは、社会性、顔の認識力、テリトリー、攻撃性などに関連している。
★ モルヒネ様のエンドルフィンという幸福ホルモンは痛みを減じる。エンドルフィンは社会的接触で上昇する。自閉症の人はエンドルフィンのレベルが高いので、接触の必要性を感じない。著者は社会的接触をスクイーズ・マシンに依存した。
★ 家畜・ペットなどの動物は社会性があり、仲間を必要とする。
★ ロコモーター・プレー(locomotor play)は、脳の発達には重要だ。今の子供は、ロコモーター・プレーを十分にやっているのか?
【4章 動物の攻撃性】
★ おとなしい犬が、小動物を楽しんで殺すのを見ると、飼い主はショックを受ける。
★ 犬が人を殺すのは、人が人を殺すのより断然少ない。
★ 犬の育て方が悪いと、犬は人間より上だと考え、家庭内でボスになってしまう。
★ すべての肉食動物は、獲物に対し本能に基づいた「最後のひと噛み」をする。
★ 肉食動物が持つ追跡欲求は、先天的でなく後天的だ。
★ 動物の攻撃には次のものがある。権利主張型攻撃、痛みに基づく攻撃、ストレスに誘発される攻撃、混合型攻撃、病気に起因する攻撃、雄同士の攻撃。
★ 15歳から24歳の人間の若者は暴力に走りやすい。
★ 力に基づいた縦社会は、争いを最小化する。馬の社会では、馬は社会のルールを後天的に身に付ける。
★ 集団心理は現実のものだ。犬の集団は人間にとって危険だ。
★ ひとたび飼い主より上に立った犬をその座から引きおろすのは容易でない。
【5章 痛みと苦しみ】
★ 食用の動物は苦しむべきでない。できる限り痛みを少なくしたい。できる限り即座に屠殺したい。
★ 草食動物はあまり痛みを見せないが、肉食動物は声などを上げ痛みを表わす。
★ 前頭葉を削除するロボトミー手術を受けた人は、痛みは気にするが苦しみは感じなくなる。動物の痛みや苦しみは、ロボトミー手術を受けた人と普通の人の中間に位置する。自閉症の人の痛みや苦しみは動物のものに近い。
★ 動物にとって痛みより恐れのほうが悪く作用する。著者の学校にいた馬のように、ひどい扱いを受けると、トラウマが残り消すことができない。
★ 自閉症の人や動物は、恐れを抑制する前頭葉のシステムが弱い。
★ 恐れを視覚で記憶した場合のほうが、言語で記憶した場合より、度合いが強い。自閉症の人は視覚による記憶なので、恐れの抑制が難しい。
★ 恐れはサバイバルにとって、重要な働きを持つ。恐れのあるマウスは負けるまでしか争わない。恐れの少ないマウスは死ぬまで争う。
★ 通常のマウスは、自分のテリトリーに入ってきた侵略者とは戦うが、他のマウスのテリトリーに入れると戦わない。
★ 人や動物は感覚で未来を予測する。
★ 恐れを感知する健全なシステムがあれば、動物や人は未来を予測しながら生き延びる。
★ 無意識に記憶したものは消えづらい。恐怖の記憶は永久に消えないように思える。
★ 好奇心と恐れは共にある。
★ 動物が恐れを一般化する方法は、感覚を使うのであって、概念を使うのではない。また、極度に詳細化された特定のものに恐れを持つ。
【6章 動物はいかに考えるか】
★ ハトがピカソとモネの絵を区別した実験がある。
★ アフリカ産のオウムのAlexは認識のレベルが4歳から6歳くらいの人間の子供のレベルに達している。色と形のような抽象物を分類できる。
★ 動物がビジュアルなイメージで思考する証拠を示した。人はREM睡眠の際にビジュアルなイメージで夢を見る。著者は目が覚めているときにビジュアルなイメージで思考している。
★ カラスは人の様子を観察して、その人がカラスを撃つために銃を取りに家に戻ったか否かを判断できる。銃を取りに家に戻っていない場合にはカラスは逃げない。
★ 自閉症の人は動物と多くの共通点を持っている。
★ プレーリードッグは名詞、動詞、形容詞を使うコミュニケーション体系を持っている。さらに、コロニーごとに方言もある。
★ 音楽のソナタの手法はもともと鳥が発見した。モーツアルトも鳥の鳴き声に影響されて作曲した。
【7章 動物の天性━甚大な才能】
★ 動物がどれだけ利口か?たとえば、鳥の渡りを見れば分かる。北極から南極まで30万キロもの渡りを行い、毎年戻ってくる。これは、本能でなく後天的に苦もなく身に付けたと考えられる。
★ 多くの動物は大容量の記憶領域と学習能力を持っている。
★ リスは埋めた大量の木の実の位置を正確に思い出せる。人間にはできない。
★ ヨーロッパ人は動植物を分類した。同様に人種も分類した。知性のレベルはヨーロッパ人が一番上、アジア人が次、一番下がアフリカ人。これは誤り。人種の問題でなくカルチャーの問題だ。おそらく動植物の分類に対しても同様の誤りを犯している。
★ 多くの動物は人間の持つ知性とは異なる知性を持っている。
★ 自閉症の人の利口さは動物のものと類似している。動物と共に長年生きてきて、動物は自閉症サヴァンと同様の才能があると結論付けた。
★ 普通の人の高度な知性は、高度な特殊能力を犠牲にして実現される。両者は両立できない。
★ 犬と人間の関係。人間は犬と共に進化した。人間は狼を変えた。狼は人間を変えた。ホモサピエンスがホモエレクトスから辛うじて進化した時点で狼と人間は共存していた。相補的なスキルを持つふたつの種が共同して進化した。
★ 狼はおそらく我々人間の脳の構造を変えた。犬が我々を人間にする。
★ すべての動物が我々を人間にする。
【行動および訓練のトラブルシューティングの手引き】
★ 動物の行動は、後天的な行動、生物学に基づく感情、本能にしばられた行動の複雑な混在だ。
★ 動物を訓練する人は、ほめること、なでること、食物報酬などのような肯定的感情やモチベーションに基づくべきで、恐怖を与えるような否定的なやり方はすべきでない。
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