種子(しゅじ)とは密教において、仏尊を象徴する一
音節の呪文(
真言)。種子真言(しゅじしんごん)ともいう。梵名は
ビージャークシャラ(बीजाक्षर [biijaakSara])。
また、これを梵字で表記したものは種子字(しゅじじ)と言う。また種字(しゅじ)とも略称し、一般にはこの「種字」という表記が多用される。これは通常一文字で表記されるが、極めて稀に閉音節の物があり、この場合は二文字で表記される。
種子の例を挙げると、वं(vaM)は
金剛界大日如来、ह्रीः(hriiH)は
阿弥陀如来、स(sa)は
聖観音、हां(haaM)は
不動明王、सु(su)は
弁才天を象徴するものである。種子は梵字の神秘的解釈(
悉曇五十字門)から作られるほか、その仏尊の真言から一文字取ったり、仏尊の梵名の頭文字を取って作ることも多い。
これら種子は、密教の
修法において本尊となる仏を想起するためのシンボルとなるので、これを植物の種に譬えて種子という。
また
護符や
曼荼羅などに、仏尊の絵姿の代わりに種子を書くことも多い。 これには、絵姿を描くより梵字で済ませた方が手間がかからないという実用的な意味もある。
主な種子一覧 [編集]
種子は同じ文字が複数の仏尊を表したり、逆に同じ仏尊が複数の種子を持っていたりする。ここでは代表的と思われるものを示す。
慣用音としたのは日本で行われている発音である。ここでは
真言宗で伝承されている中天音(インド中部での発音と伝承されているもの)を示したが、他にも
天台宗で伝承されている南天音(インド南部での発音と伝承されている)など何種類かの発音がある。また、長母音はしばしば短母音として発音される。例えば「キリーク」は「キリク」とも発音される。
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