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10/24/2010

脱帽、自由の女神は偉大なり、笑い


だから、平気なんだよ、荒野でも、何にもないところでも・・・







プロローグ

 イルカにであう

 私は浅い眠りについていた。パーカッションの音のような、

プフー

という大きな音で目が覚めた。

私は横になったままで、目を開いて、耳を傾けていた。イルカの声に違いない。また聞こえた、イルカは近くにいる。約十二メートルの長さがある、カタマラン(双胴船)・ノートレック号のドアは、塩でべとついていた。私は、そのドアを開いて、デッキにのぼった。南東方向から、そよ風が絶え間なく吹いてきて、涼しかった。星がきらきら輝いている。大きくて明るいアーチが、頭上にかかっているような気がした。細長い月の影が、ゆらゆらと光って、波間を漂っている。ほかに、光はなく、水面は穏やかだ。潮が、停泊中のノートレック号を、緩やかに引いていた。潮は、双胴の船体に沿って、後方へ流れていく。イルカが、水面をローリングする。イルカの銀色の背が、月明かりの下に見えた。イルカは、流れるように動いて、呼吸をし、ふたたび水中に潜る。流れ星のようにきらきら光を発して、しぶきを上げながら魚を追って、呼吸をするために、ふたたび水面に現れる。

 イルカの背ビレがかろうじて見えた。背びれの上端に切れ目があるので、ニッキーだと分かった。ニッキーは、波間に映る筋状の月をくぐりぬけた。ニッキーが、水中でロールバックするたびに、銀色の滑らかな肌が輝いて、それは流れ星のように見える。呼吸の仕方や獲物の追い方を見ると、ニッキーだと分かる。

 私は目覚めたばかりなので、頭がうまく働かない。デッキに腰を下ろして、その光景に魅入った。頭上には天の川、眼下には輝くイルカの流れ星。この壮麗な光景を見ていると、気が遠くなり、我を忘れてしまいそうだ。シャーク湾は、インド洋に突き出している。湾の広がりは大きく、都市の光源からは、遠く離れている。上空をながめると、星座がゆっくりと回っている。色とりどりの惑星や、星団や、薄気味悪い星雲などが、ちらちらと脈打っている。ときおり通過する人工衛星と流星だけが、異質の物体だ。しかし、ほかは見慣れた夜空の風情である。ちょうど今、オリオン座が水平線近くにある。おそらく、午前三時ころだろう。

 今夜のようなときには、海は生き物でごったがえしている。

「ピシャピチャ、バシャバシャ、ザブン、ザブン、スイスイ、ドボン、ドボン」

と騒がしい。

水面下の世界が、少しだけ顔を見せる。その真上で、ノートレック号が座礁しているように思える。私はデッキに腰を下ろしたまま楽しむ。水面下の暗闇を動き回っているニッキーも、楽しんでいるのかなと思う。ニッキーにはエコロケーション(反響定位)の能力がある。頭から鋭い音を出して、物体を反響音で「見分ける」。ニッキーの周りを泳いでいる生き物たちは、ニッキーに食われるかもしれない。しかし、ここはシャーク湾だ。ニッキーにも、同じように危険が迫ってくる。危害をくわえないサメもいるが、タイガー・シャークのようなサメは、イルカを食べる。毒とげを持つ派手な色のカサゴや、擬態をする気味悪いオコゼや、ウミヘビなども生息している。暗い海を泳ぎまわるイルカにとって、これらの生き物は悩みのタネである。

 離れた地点から、別の呼吸音が聞こえた。ニッキーの母ホーリフィンだろう。ホーリフィンの旧友のパックもいるようだ。しばらく呼吸音を聞いていると、ニッキーが母たちのところへ向かうのが分かる。ニッキーを待つ母たちの姿も目に浮かぶ。ニッキーは、ホーリフィンの横に滑り込んで、腹を傾けて、上手にあいさつする。

 ニッキーとホーリフィンは、海へ潜って、魚が隠れている海草のすき間を探る。私はニッキーをよく知っている。ニッキーは、大げさな愛情は示さないが、賢くて、真面目である。あまり騒がずに、内省的にさえ見える。私はニッキーを見ると、自分自身に思いが及んで、ニッキーに強い絆を感じる。

 レッド・クリフ湾(シャーク湾の中にある小さな湾)に生息するニッキー、その家族、他のイルカたちは、十五年にわたって、私の人生の核心になった。私は、イルカといっしょに暮らす特権を与えられた。そして、イルカたちと深い愛情を育んできた。外国を旅していて、思いもよらずに、エキゾティックな外国人と出会ったときのように、ニッキーに対して、熱烈な感情を抱くこともある。私は、どうにかこうにかして、イルカとコミュニケーションが取れるだけで、イルカの世界を少しだけ理解しているにすぎない。イルカと私の間には、共通点もあるが、異なる点もある。私は、イルカに親しみを感じると同時に、単なる観察者にすぎないという寂しさもある。イルカと関われば関わるほど、親しみは遠のいて、外からの観察者にすぎないという思いだけが強まる。

 風にさらされる辺境の海岸で、錨につながれた壊れやすい貝殻ボートに腰をかけていると、漠とした広がりが、私を取り囲んでいると感じる。そして、それは確かな感覚でもある。西を向くと、インド洋、さらには、マダガスカル島と、アフリカの東海岸がある。はるか北方には、インドネシアがある。南方は、風と波と海だけであり、北極へと連なる。東方には、モンキー・マイアの小さな漁村があって、その先は、数百キロの砂漠、つまり、オーストラリアの未開の地だ。上空は、計り知れない宇宙の広がりだ。

 この茫漠とした広がりが、ニッキーたちとの親近感を深める。十五年以上にもわたって、研究チームのメンバーといっしょになって、イルカを観察した。私たちは、シャーク湾のイルカのさまざまな生態を発見し、その輪郭を明らかにした。感覚や、経験や、可能性のすべてを、イルカと分かち合うことはムリだし、イルカのすべてを理解することもできない。だが、私たちの間には、単純だが、活き活きとした絆が芽生えた。

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The Definition Of Art Harbour Blog



The Definition Of Art Harbour


Virtual International Trade Harbours Of Art


Opening Anniversary Date: December 1, 2006

Language: Multi Language


Each harbour can export the works toward the virtual world.

People and organization can import the works from all over the world.


Now,Item: Works on Art Activities that are expressed with Photos and Explanations etc.

Export Method: Each Harbour put the Works onto this blog

Import Method: People and Organizations accsess this blog

Order Method: People and Organizations put some comments about the Works onto this blog.


In the future, we will need transportation including trains,airplanes,ships, cars, buses etc.

in order to export and import people, goods etc. ?


Art Harbour


アート・ハーバーとは


アートのバーチャル国際貿易港


開港記念日:2006年12月1日

言語:マルチ言語


各港は、バーチャルな世界へ向けて、作品を輸出できる

人や組織などは、バーチャルな世界から、作品を輸入できる


現時点輸出品目: アートに関する活動などを「写真と文などで表現した作品」

輸出方法: 各港で作品をこのブログに書き込むことで、輸出したものとみなす

輸入方法: 人や組織が作品をこのブログで参照することで、輸入したものとみなす

注文方法: 感想などをコメントに入れることで、注文したものとみなす


将来、、、列車、飛行機、船、車、バスなどを利用して、リアルな人や物が輸出入できる?


アート・ハーバー

Multi Language

現時点では?


ブログは日本語ベース


Google Translatorで、各国語へ、変換




そして、現場で、リアルなコミュニケーションは?


英語ベースで、現地語がお愛想・・・


こんな感じかな?


Aoyagi YoSuKe

Art HarbOur


The Gaiaと各ハブは?


英語がベースで、Google Translatorで、各国語へ・・・

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アート・ハーバー 下北沢


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Introducing People, Works, Shops etc. related to Art Harbour as a spot ad.


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