若者の老人化
「さとり」は老人の特権です。いろいろやって、最後に悟る・・・
今の若者の消費動向について「車に乗らない。ブランド服も欲しくない。スポーツしない。酒は飲まない。旅行しない。恋愛には淡泊」
無駄なことはしないのは良い。ターゲットを絞る方が賢い。
決め打ちで、何かをやった方が良い。
カネを使わなくても、価値があることに打ち込めば良い。
さとり世代の盲点は?
結果は分からない・・・ 未来を予測するのは相当に困難である。
「さとり世代」という言葉が広まっている。インターネットから生まれた表現で、今の若者を象徴しているという。バブル世代とも、ゆとり世代とも違うという「さとり世代」。どんな人たちのこと?
「さとり世代」が最初に登場したのは2010年1月。ネット掲示板「2ちゃんねる」で、元日経新聞記者の故・山岡拓さんの著作「欲しがらない若者たち」を語るスレッドだった。
同書には、今の若者の消費動向について「車に乗らない。ブランド服も欲しくない。スポーツしない。酒は飲まない。旅行しない。恋愛には淡泊」とある。
これを受け、1人が「さとり世代」と書き込むと、「いい言葉!」「面白いフレーズ」などの書き込みが殺到。その後、掲示板の創設者で元管理人の西村博之さん(36)がツイッターで「『さとり世代』。結果のわかっていることに手を出さない。草食系。過程より結果を重視。浪費をしない」とつぶやき、ネットで拡散した。
■閉塞感が影響?
結果をさとり、高望みしない世代――。何歳くらいを指すのだろうか。
博報堂若者生活研究室アナリストの原田曜平さん(35)は「ゆとり教育を受けた世代と年齢的にほぼ重なるだろう」と話す。
ゆとり世代は、主に02~10年度の学習指導要領で学校教育を受けた人たち。1980年代半ば以降に生まれ、現在の年齢は10代から20代半ばだ。
物心ついたときにはバブルが崩壊し、景気は後退。一方で、ネットが普及し、自ら足を運ばなくても欲しい情報が手に入る環境を享受してきた。原田さんは「『ゆとり世代』はダメな若者を指す言葉になったが、『さとり世代』は、ゆとり教育を受けつつ、さらに勉強をし、現実的な将来を見通す賢い集団でもある。だからこそ、結果をさとらざるを得なかった」。
社会学者の古市憲寿さん(28)は「自分を一歩ひいて見ざるを得なかった世代」とみる。社会の閉塞(へいそく)感で、夢や目標を持つことの見返りが不透明になったことが一因という。「お金がないと合理的になるのは当然のこと」と指摘する。
■企業には危機感
若者は、長く消費ブームの先頭に立ってきたが、最近は20代の購買欲が落ちているとの指摘もある。
例えば、旅行。日本交通公社によると、20代の海外旅行者数は00年の417万人に対し、12年は294万人。JTBワールドバケーションズの太田真規男さん(51)は「この世代を押さえないと、新婚旅行、家族旅行へと続く市場を獲得できない」と危機感を示す。
例えば、クルマ。日本自動車工業会が08年、18~24歳を対象に実施した乗用車市場動向調査によると、免許保有率は01年から65%程度でほぼ横ばいだが、実際に運転する人の割合(男性のみ)は99年の74・5%から、07年は62・5%に減少。購入したい車の価格は男女ともに「120万円以下」が増加した。担当者は「この傾向はますます強まっている」と話す。
日産自動車マーケティング本部の塚原隆彰さん(36)は「車を持つことがステータスだった時代は終わった。恋愛、グルメなどのキーワードと合わせて、車への関心を高める工夫が必要です」。
ただ、20代の人口は減り続けているし、若者の所得も下落傾向だ。「さとったから買わない」でなく、使うお金がないだけかもしれない。
■「覇気感じない」
でも、労働現場からは、こんな声も漏れる。
東京都内でアパレル販売の会社を営む小林栄治さん(30)は、19~26歳のスタッフに頭を抱える。「仕事はそつなくこなすが、上を目指そうという気概がない」
彼らに「店長になってほしい。給与も上がる」と声をかけると、「大変なだけじゃないですか」と断られることが多いという。
(古田真梨子)
◆夢は寛容な大人
「さとり世代って言われれば、僕もそうかも」
東京都内の大学に通う男子学生(26)は言う。都内で生まれ育ち、北は北海道まで行ったことはあるが、南は三重県どまり。パスポートは持っていない。
「異国の料理は都内で食べられる。海外の様子はネットでわかる」。車の免許は必要性を感じられず、教習所に通ってはみたものの、「中退」した。「将来は自分のレベルに応じた暮らしぶりでいい。すごいことをやろうなんて思わない」
千葉県の女子学生(20)も海外旅行に興味がない。「手続きが面倒くさい」という。化粧品か下着のメーカーへの就職を希望するが、年収にはこだわらない。「ほどよく力が抜けた大人になりたいんです」
淡泊な恋愛観も、さとり世代の特徴とされる。横浜市の男子学生(20)は長身のイケメンだが、彼女はいない。親しい女性はいるが、「ただの友だち」。親類の40代男性から「それで満足? 俺たちの時代では考えられない」と驚かれたが、「普通だよ。みんなと仲良くできればいい」。将来の夢は、「寛容でおおらかな大人になること」。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201303170328.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201303170328
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